勝負の夏に何をすればいいの?中受プロが教える合否をわける「夏休みの過ごし方」

中学受験をめざす6年生にとって「夏をどう過ごすか」は合否につながる大きな分かれ道だ。この夏で大きく伸びる子もいれば、なんとなく過ごしてしまい、後から悔やむ子もいる。
「焦って過去問や難問対策に手を出すのは非効率。どこが伸びしろか、よく見定めたうえで学習の焦点を絞り込みましょう」
そう語るのは、大手中学受験塾の室長を1817年務めるakira/中学受験Walker氏。中受のプロが教える合格に直結する「6年生の夏休みの過ごし方」とはー。インタビュー全3回の第1回。
目次
過去問の「◯◯率」に注目せよ
まずは何より伝えたいのが「合格のカギを握るのは、“基礎”力」だということ。
夏以降、「もっと難しい問題を」「応用力を鍛えよう」と難しい問題にチャレンジしたくなる受験生家庭が増える傾向にあります。しかし、合格をつかむ上でいちばん大事なのは、誰もが「できて当然」とされる基礎問題を確実に正解することです。
受験本番の問題ごとの正答率は、実は塾側には開示されていることもあります。その正答率を見ると、後半に出題される難易度が高い問題は、ほとんどの子が解けていません。中には正答率1%前後の問題もあります。
これらの問題は、言わば“捨て問”になっているのです。
にもかかわらず、過去問を見て「志望校の問題はすべて解けるべきだ」とばかりに何時間も粘ったり、「全然解けない」と焦ったり不安になったりしている保護者やお子さんを毎年見かけます。
こうした問題が解けるようになるために、膨大な時間を投じる必要があります。また、仮に解けるようになったとしても、本番で時間内に解ききれるかがわかりません。
夏以降の学習はなるべく「志望校で出題される基礎的な問題」「正答率の高い問題」を優先的に学習しましょう。正答率は公表されていない場合もありますが、塾の先生に聞けば「合格に必須の問題」「後回しで良い問題」についてアドバイスをもらえます。
正答率の高い問題こそ、最大の伸びしろであることを心がけてください。
夏に計算を鍛え上げるべき理由
夏の勉強で無視できないのが「計算」です。「いまさら計算?」なんて声が聞こえてきそうですが、今こそしっかり仕上げてほしい。
特に重要なのは、正確さだけでなく「速く・確実に処理する力」です。計算はどの学校でも出題されます。計算問題と一行問題だけで、配点全体の2割以上を占めるという学校も少なくありません。割合や図形の問題を解くにも、速くて正確な計算力は不可欠です。
塾で見ていると「正確ではあるけれど、スピードが足りない」子が非常に多い。最終的に目指したいのは、考えなくても反射的に解ける状態です。シンプルな計算を、瞬時に処理できるまで練習しておくと、本番でも時間と心に余裕が持てます。
計算スピードを上げるために、よく出る計算パターンは暗記するのもおすすめです。
たとえば、図形の問題で頻出の「3.14のかけ算」は、少なくとも9までは即答できるようにしておきたいところです。