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金でアゲ記事を書く、サゲ記事を書く実態・・・ファンをも傷つける行為に手を染める、その当事者の証言(前)

(c) AdobeStock

日野百草 ファンしか知らない羽生結弦

目次

敵対側がブラック・ジャーナリズムを使う

「私の場合、誹謗中傷とかは書かないですね。むしろアゲ記事です」

 都内、新宿区にある編集プロダクションに勤める編集者兼ライター、仮にS氏としよう。彼はいわゆる「お金をもらって書く」ことがあると話す。

 もちろん原稿料とか給料の話ではない。取材対象者やその関係者から金品を貰い、書くということだ。

 邪魔な◯◯のサゲ記事を書いて欲しい、うちの◯◯のアゲ記事を書いて欲しい、それこそ昔は一部メディアではあたりまえに行われてきた。記憶に新しいところでは旧ジャニーズが敵対する側に対してブラック・ジャーナリズム(古い言葉だが便宜上使う)の連中を使ったり、テレビ局などに「圧力」をかけたりしていたことは旧ジャニーズ自身も認めた話である。記事も含めた攻撃もまた「圧力」である。

「アゲ記事は無理やり感がでますが、そのアゲる人物のファンが納得すればいい。そんな無理やり感に騙される一般読者もいる。というか多いからアゲ記事というか、ゴリ押しの記事が成り立つ。人は信じたいものを信じますからね。サゲ記事よりは罪がない」

 彼はもともと週刊誌の編集者もしていた。といっても「週刊文春」や「週刊新潮」などの大手出版社の週刊誌ではない。いわゆる「実話誌」と呼ばれる類のものだ。ゴシップからヤクザ、ポルノを網羅したような雑誌で、「実話がないのに実話誌」と揶揄されるジャンルだ。あくまで例として挙げるなら「アサヒ芸能」「週刊実話」「週刊大衆」などがこれにあたる。もちろん彼はそれらの編集部員ではない。もっとマイナーな雑誌だ。その実話誌は休刊している。それで編集プロダクションに転職したクチだ。

「お金を貰う場合はアゲ記事だけですね」

「サゲ記事はむしろ大手(出版社)かクラウドワークスとかの個人の副業が多いと思います。中小の出版社では体力がないから万が一の訴訟に耐えられない。業界での力もたかが知れているし取材力というか、人手も足りない。だからコタツ記事でサゲをすることはありますが、うちはお金を貰う場合はアゲ記事だけでしたね」

 こうした「金銭のやりとりでアゲ記事を書く」というのは商品記事や情報誌には当たり前に存在する。取材対象のお店と金銭のやり取りでなくとも便宜を図ってもらうのは地域情報誌やグルメ雑誌では古くからあったし、広告を出稿してもらうかわりに取り上げるというのはみなさんもよく知るところだろう。テレビの情報番組も多くは「売り物」でありCMを出してもらうかわりに番組を作る。

 昨年、テレビ東京の経済情報番組「ガイアの夜明け」や「カンブリア宮殿」で500万円の費用で出演の仲介をすると各企業経営者を騙す手口が話題となったがテレビ東京は「金銭を受け取って番組制作を行うことはない」としたが「有償の出演交渉」自体は存在する。よくある5分とかのスポットで社長や商品を紹介する番組はそれだ。雑誌なら「PR」とページの端に小さく明示される。

 それは何ら問題のない商慣習だが、広告と明示しないでアゲ記事を書き、いわゆるステルスマーケティングのような状態になる記事もある。多くは商売なので認めないだろうが、私の知る業界で言えばゲーム誌などはおおよそそれであった。

 ゲームに限らずエンタメはとくに多いのだが、ぶっちゃけ「人の命にかかわる問題ではない」(私がそう思っているのではなく、あくまで社会通念上の話)という点からお上からおめこぼしをいただいているだけで、景表法改正以降は大手企業からインフルエンサーまで消費者庁から措置命令を食らっている。

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この記事の著者
日野百草

1972年生まれ。日本ペンクラブ広報委員会委員。出版社勤務を経て国内外における社会問題、政治倫理を中心に執筆。大学院で芸術学を専攻、修士(芸術)、芸術修士(MFA)。文芸論、人物評伝および比較史におけるポップカルチャー、またフィギュアスケートなど舞踏芸術に関する論考も手掛ける。2018年、評論「『砲車』は戦争を賛美したか 長谷川素逝と戦争俳句」で日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞を受賞。著書『評伝 赤城さかえ 楸邨・波郷・兜太に愛された魂の俳人』他。

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