若い女性の体液を抽出…東南アジアで出会った衝撃的な呪物とは 日本一の呪物コレクターが明かす深すぎる闇

怪談師であり、日本を代表する「呪物コレクター」として知られる田中俊行氏。彼が収集するのは、持ち主に災いをもたらすとされる曰く付きの品々である。介護施設で5人を死に導いたとされる呪いの人形「チャーミー」との出会いが、この世界に引きずり込まれるきっかけになったという。
呪物の力を「間違いなく存在する」と断言する理由から、メルカリでも取引される現代の呪物マーケット事情まで、オカルトの枠を超え民俗学の領域にも通じる呪物の奥深い世界を、同氏に解き明かしてもらった。短期連載全3回の第3回。(取材日:6月25日)
目次
“思い出作り”のテレビ出演でまさかの事態 田中俊行が怪談師になった理由
――田中さんは、いつから怪談師として活動されているのですか?
はっきりと「怪談師」になったという意識はないのですが、大きなきっかけは2013年にありました。関西ローカルで放送されていた『稲川淳二の怪談グランプリ』という番組に出演したことです。
――あの有名な番組ですね。そこで優勝されたことが転機になったと。
そうなんです。あの番組は基本的にタレントさんが中心で、僕みたいな素人は「賑やかし」で2人くらい呼ばれる、という感じだったんですよ。本当に、ただの思い出作りのつもりで出たんです。前年に知り合いの吉田悠軌さんや、その前には横山創一さんが出ていて、「じゃあ今年は田中が出てみろよ」と勧められたのがきっかけで。まさか優勝できるなんて思ってもいませんでした。
トップ怪談師が明かす、人生を変えた一夜の舞台裏「得体の知れない素人が…」
――人前で本格的に怪談を話したのは、それが初めてだったのですか?
ほぼ初めてでしたね。でも、そこで優勝できた。今思えば、得体の知れない素人が突然出てきた、その「初めて出る強さ」みたいなものがあったのかもしれません。タレントさんたちは、お互いの手の内を知っていますから。そこに変なのが紛れ込んできて、それで勝てたのかなと。そのときからですね、色々なところから怪談の仕事で呼んでいただけるようになったのは。
――そのとき、優勝を勝ち取った怪談はどのようなお話だったのですか?
「裏拍手」にまつわる話です。普通の拍手は祈りや賞賛ですが、手の甲で叩く裏拍手は呪いの意味を持つ、という怪談です。今でも僕の持ちネタのひとつになっています。
ABEMAで「子ども部屋おじさん」として討論 ブレイク前夜の破天荒な日々
――では、その2013年以前、怪談師になる前は何をされていたのですか?
ほぼ何もしていません(笑)。今46歳で、怪談師として活動を始めたのが30代半ばなのですが、それ以前は……本当に何も。実家が兵庫の神戸にあって、42歳まで実家にいましたから。
――そんなにいらっしゃったんですね。
「子ども部屋おじさん代表」として、ABEMAの番組に呼ばれたこともありますよ(笑)。今をときめく村重杏奈さんとかと、討論していました。当時は「怪談をやっている子ども部屋おじさん」という肩書きでしたね。
――その「子ども部屋」時代、20代や30代前半は何をして過ごされていたのですか?
親に気を遣って、息を潜めて生きていましたね(笑)。ずっと自分は「浪人生」だと思い込んで生きていました。そろそろ大学に行かないとな、と思いながら、ずるずると20年くらい経ってしまった感じです。もちろん、お小遣いは稼がないといけないので、デザイナーさんのところでアルバイトをさせてもらったりはしていましたけど、本当にそれくらいです。
大学受験に失敗してインドへ逃亡 “耳かき屋”になろうとして挫折したワケ
――インドで耳かき屋をやろうとした、という武勇伝も伺いましたが……。
ああ、あれは大学受験に失敗して、親からもらった塾代を握りしめてインドに逃亡したときの話です(笑)。フリーの航空券だったので、いつでも帰れるはずだったんですが、お金が尽きて帰ろうとしたら、対応したインド人の係員に「お前はもう一生日本に帰れない」と意地悪を言われて。当時19歳くらいでしたから、それを真に受けちゃったんですよ。
それで、インドで生きていくために耳かき屋になろうとしたんです。でも、現地の耳かき屋にどうすればなれるか聞いたら、「こいつらは詐欺だから気をつけろ」と日本語で書かれたノートを見せられて、諦めました(笑)。
“呪いの人形”チャーミーを手放せない、正直すぎる理由「億を積まれても…」
――これまで200点以上の呪物を収集されてきたとのことですが、あえてランキングを付けるとしたら、田中さんにとって最も価値のある呪物は何でしょうか?
順位は付けられないですが、やはり僕をこの世界に引きずり込んだ「チャーミー」は、特別な存在です。入手した値段で言えば0円ですけど、僕の人生を変えたという意味では、何物にも代えがたい価値があります。
――もし今後、チャーミーの人気がさらに高まって、大富豪が「何億円出してもいいから譲ってほしい」と言ってきたら、どうしますか?
いやー、チャーミーだけはいくら積まれても渡さないですね。億……ですか。うーん……いや、渡したら僕がチャーミーに殺されます(笑)。
若い女性の体液を抽出…東南アジアで出会った衝撃的な呪物
――では、チャーミー以外で価値のある呪物を挙げるとすれば?
タイで手に入れた「ナンマンプライ」ですね。これは、非常に特殊な製法で作られる呪物です。まず、未練を残して亡くなった方の遺体を探します。特に、若くして事故で亡くなった女性などは、強い力を持つとされています。何も供養されないと怨霊になってしまう、その強い念の力を利用するんです。
――具体的には、どうやって作るのですか?
亡くなった方の身体から、特殊な技法で体液を抽出するんです。リンパ液のようなものだと聞いています。もちろん、それだけではなく、神聖なハーブなどを混ぜて完成させます。普通は小さな瓶詰めで売られていることが多いのですが、僕が持っているのは、一人分まるごと入っているんじゃないかというくらい大きな瓢箪型の容器に入ったものです。これは価値があると思っています。
――そのナンマンプライになった方は、どのような未練があったのでしょうか?
僕が持っているものは、カンボジア出身の若い女性だと聞いています。交通事故で若くして亡くなり、身内の方が供養するお金もなかったそうです。そういった場合に、呪術師が「供養のためのお金は出すから、娘さんの一部を呪物として使わせてほしい」と交渉することがあるようです。
戦死した兵士と架空の花嫁が“死後に結婚” 日本にも残る知られざる風習
――日本の呪物ではいかがでしょうか?