「歴史」は何から学ぶ?大河解説YouTuberが教える「憧れ」から始める受験攻略法

中学受験で求められる内容は、ハイレベルな算数、高度な心情理解が求められる国語、複雑な実験考察が求められる理科など、深く、そして多岐にわたる。
そんななかで、家庭で求められる暗記量が非常に多く、受験生が苦戦しがちなのが歴史だ。授業だけでは到底覚えきれず、家庭での取り組みが学力に直結する。
「日本の受験教育で“歴史って単に暗記するだけの科目でしょ?”“年号や人名をひたすら覚えさせられて、嫌いになってしまった”という人は一定数います。しかし、これは非常にもったいない」
大河ドラマの解説を中心に、YouTubeチャンネル『戦国BANASHI』で歴史関連動画を発信しているミスター武士道氏によると、「歴史が楽しい」と思えるかどうかで、理解の深さや知識の身につき方が大きく変わるという。
子どもを歴史好きにさせるには、どうすれば良いのか。どうやれば歴史の知識が定着しやすくなるのか。ミスター武士道氏に聞いた。全3回の第2回。
目次
どう選ぶ?歴史コンテンツ選びの重要ポイント
今は歴史に触れられるコンテンツも多種多様です。YouTubeやNetflix、U-NEXTなど動画が選び放題で、知識を深める環境は整っています。
しかし、作品の選び方を間違えると「難しすぎて挫折してしまった」となりかねません。
私のおすすめは、最初から“正統派”にこだわりすぎないこと。大河ドラマや本格的な歴史映画は、基本的に知識のある大人向けに作られています。背景知識なしに小中学生が見ても、ストーリーを追うことすら難しいでしょう。
歴史の面白さは“憧れ”から始まります。武将がかっこいい、着物が綺麗、お姫様が美しい。そういった感覚的なアプローチはすごく効果的。“勉強っぽくない歴史”から入ったほうが、子どもにとっては自由で楽しいはずです。
各時代の町並みや服装、歴史上の人物の特徴をビジュアルでおさえ、イメージできるようになったほうが、学習もはかどるはずです。
最初は史実に忠実かは度外視で、エンタメ作品から見るので構いません。
自衛隊が戦国時代にタイムスリップしてしまう「戦国自衛隊」や歴史に疎い高校生が戦国時代にタイムスリップし、織田信長の影武者として生きることになる「信長協奏曲」のような作品のほうが、歴史初心者でも没入できると思います。
大事なのは、最初の入り口を「知識」ではなく「感情」に置いてあげること。かっこいい!とときめいたり、怖い話や切ない逸話に心を動かされたり。そうした揺らぎのある感情こそが、歴史に夢中になる種になります。
小学生へおすすめの歴史コンテンツ
子どもの歴史への情熱に火をつけてくれるコンテンツをいくつかご紹介します。中学受験生である小学生でも楽しめるものを意識して選んでみました。
【『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』】監督・脚本 原恵一、原作 臼井儀人、配給 東宝
戦国時代にタイムスリップしたしんちゃんが、出会った若武者や姫と心を通わせていく物語。ギャグ満載のシリーズの中でも、異例の「泣ける戦国ストーリー」として評価が高く、大人も思わず涙する名作です。
特に時代考証には力が入れられていて、戦国時代の価値観や風景が丁寧に描かれています。合戦シーンでは、武器の扱いや戦さの段取りに至るまで、映像作品の中でも随一と評されるほどのクオリティ。
命のやりとりの緊張感がリアルに描かれており、子どもにも時代の空気が自然と伝わります。