なぜ?NF(INFP、INFJ、ENFP、ENFJ)タイプの退職は“突然”に見えるのか…NFタイプにとっての「働きづらさ」と職場のミスマッチを専門家が解説

あなたの職場にもいないだろうか。いつの間にか突然退職してしまう人のことだ。もしくは、あなた自身が今、仕事を辞めようか悩んでいるのではないか。
現在、巷だ大流行中の16タイプ診断を通して自身のタイプを知ることで、そうしたキャリアのミスマッチを避けることができるかもしれない。
16タイプ診断のプロフェッショナルである、けい(大地啓太)氏が、NF(INFP、INFJ、ENFP、ENFJ)タイプが取るべきキャリア戦略について解説するーー。
みんかぶプレミアム連載「16タイプ診断で読み解く“職場のミスマッチ”の正体」
目次
周囲には理解されにくい、NFタイプの転職・退職のロジック
職場では、ときに「あの人、なぜ辞めることにしたのだろう?」と、周囲が首をかしげるケースがあります。実はその背景には、NF(INFP、INFJ、ENFP、ENFJ)タイプに特徴的な“内面的な価値観”が影響していることも少なくありません。
彼らは一見すると穏やかで協調的に見え、日常業務にも真面目に取り組みます。しかし心の奥では、「自分の仕事が世のためになっているのか」「この組織の理念は誠実か」といった理想を常に意識しています。そのため、給与や待遇といった表面的な条件よりも、例えば「人を大切にすると掲げているのに現場はそうなっていない」「利益優先で誠実さが置き去りにされている」「日々の業務に意味を見出せない」といった“価値観のズレ”が離職のきっかけになることがあるのです。
こうした理由は、周囲からは「退職に値するほどの問題なのか?」「本当は別の理由を隠しているのでは?」と誤解されやすいものです。しかしNF本人にとっては、長い葛藤を経た末に下した真剣な判断なのです。
ではなぜ彼らは、このような「他タイプからは取るに足らないこと」を重んじるのか。そしてどんな場でこそ力を発揮できるのか―。NF型を理解することは、人材定着や職場づくりのヒントになるだけでなく、「人の心が動くメカニズム」を知る小さな知的エンタメでもあります。本稿では、その背景をわかりやすく紐解いていきます。
N(直観型)とF(感情型)の特徴
NF(INFP、INFJ、ENFP、ENFJ)タイプは、「未来を読む直観(N)」と「人の気持ちを重んじる感情(F)」をあわせ持つグループです。
N(直観型)は、細かな事実よりも未来の可能性に目を向け、点と点をつなげて全体像を描くのが得意です。一方S(感覚型)は五感で現実をとらえ、具体的で確かな情報を重んじます。
F(感情型)は、効率や論理より「人がどう感じるか」を重視し、共感力や思いやりに優れます。一方のT(思考型)は客観的な基準を重んじ、合理性と一貫性をもとに冷静に判断します。
こうしたNとFの組み合わせを持つNFタイプは、「人」と「未来」の両方を大切にし、理想や価値観を軸にキャリアや人生を考える傾向が強く表れます。4タイプそれぞれの詳しい特徴については、記事の末尾で紹介します。
NF型は、企業にとって単なる“感情的な人材”ではありません。彼らは組織に「意味」と「人間らしさ」をもたらす存在です。強い共感力によって周囲との信頼関係を築き、経営が掲げるビジョンを現場に浸透させる推進役にもなります。また、人材育成や顧客対応の場面では相手の成長を丁寧に支え、「この仕事は社会にどんな価値を生み出すのか」という視点を常に忘れません。その姿勢はCSRやブランド価値を体現する力にもつながります。
さらにNFタイプは、待遇や条件以上に「理念や価値観を共有できるか」を重視します。誠実さを感じられる環境が整えば、安心して長く働き続け、高いモチベーションで貢献し続けます。逆にそれが欠けると離職につながりやすいため、組織として彼らの特性を理解し、適切に活かすことが離職率低下にも直結するのです。
NFタイプの働きづらさの要因
NFタイプが職場でつまずきやすい要因には、いくつかの共通点があります。特にT型(思考型)の比率が高い環境では、合理性や効率性が優先されがちです。そのため、気持ちや人間関係を重んじるNFタイプは孤立感を覚えやすく、自分の意見が軽視されていると感じて苦しむことがあります。さらに、人間関係が表面的すぎると本音を分かち合えず虚しさを感じやすく、形式的な協調や建前の多い職場環境では強い疲労感を覚える傾向もあります。
また、価値観が共有されない組織では「目先の数字」ばかりが重視されるため、自らの存在意義を見失いやすいのも特徴です。待遇が良くても「自分の仕事に意味があるのか」という疑問が拭えず、長続きしにくいこともあります。加えて、理想を強く抱く分、現実とのギャップに直面すると深い失望につながりやすい点も見逃せません。