MARCH出身者が「社会で成功しがち」な本当の理由とは なぜ地方国立出身者は“東京のMARCH卒”に勝てないのか

わが子の教育にかけた費用は、本当に「元」が取れるのか――。これまで教育の世界では「品がない」とタブー視されてきた「コスパ」という視点から、今注目の2人が対談。学歴活動家として独自のポジションを築くじゅそうけん氏と、保護者目線で業界の闇に切り込む教育投資ジャーナリストの戦記氏が、中学受験のリアルを徹底的に語り合った。
中学受験にかかる衝撃的な費用の実態から、中学受験からの「賢い撤退」戦略まで、綺麗事なしの本音トークは中学受験を検討するすべての保護者にとって必見だ。短期連載全10回の第9回。(対談日:10月3日)
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目次
MARCH出身者が社会で成功しがちな本当の理由
じゅそうけん: 「中学受験までして、結局MARCHかよ」と揶揄する人がいますが、そもそもMARCHに合格することが、どれだけ大変なことか。地元の公立小中学校に通われていた方は、小中学校のときのクラスメイトを思い出してみてください。その中で、MARCH以上の大学に進学した人が、一体何人いたでしょうか。
戦記: ほとんどいないはずです。受験という特殊な世界にいると感覚が麻痺してしまいますが、一歩外に出れば、MARCHは十分に尊敬される学歴です。特に、ベンチャー企業の世界では、MARCH出身の学生が来たら「地頭が良いから、即採用だ」となるケースも多い。
じゅそうけん: 企業の大規模な採用活動における学歴フィルターも、ざっくりMARCHや関関同立(関西、関西学院、同志社、立命館)あたりで線引きしているところが多いですよね。
戦記: 人数も多く、教育レベルも安定していて、企業側としても使いやすい。何より、会ってみると良い人が多いんですよ(笑)。変にプライドが高すぎず、コミュニケーションが円滑に進む。
なぜ地方国立出身者は「東京のMARCH卒」に勝てないのか
じゅそうけん: 地方の国立大学と難易度的には変わらなくても、MARCHの学生のほうがオープンマインドで、起業したり、新しいことにチャレンジしたりする人が多い印象があります。これは能力の差ではなく、環境の差です。
戦記: 地方では、地元の国立大学を出ているというだけで「神様」のように扱われますからね。その心地よい環境に安住してしまい、リスクを取って挑戦しようというインセンティブが働きにくい。だからこそ、東京の民間企業で活躍するMARCH卒の学生を見て、複雑な感情を抱く地方国立大生も多いのでしょう。
“ノースキル私立文系”の予後に重大な異変か
――なるほど。では次に、最近話題の「ノースキル私立文系」という言葉についてお伺いします。じゅそうけんさんがプレジデントオンラインに寄稿された、ノースキル私立文系の就職先に関する記事も、大きな反響を呼びましたね。
じゅそうけん: はい。まず「ノースキル私立文系」とは何か、という話ですが、これはプログラミングや高度な金融知識といった専門スキルを持たない、一般的な私立大学の文系学生を指す言葉です。彼らの多くは、ポテンシャル採用で、銀行や商社、コンサルティングファームといった、大規模採用を行う人気企業に就職していきます。入社時点では、まだ何色にも染まっていない、真っ白な状態。そういった、いわば「文系ソルジャー」たちが、この言葉で呼ばれています。
ノースキル文系の明暗を分ける「たった1つの習慣」
――そうした学生たちのキャリアは、どうなっていくのでしょうか。