帰ってきた赤西仁と手越祐也がいまだに「メロすぎる」…平成旧ジャニーズたちがいま、相次いでヒットコンテンツを生み出し始めた理由
2025年、かつて“画面から消えた”とされてきた旧ジャニーズの面々が、再び前線に戻ってくる現象が起きている。そこには個々の出演作の話題を超えて、エンタメ業界の構造そのものが変わりつつある兆しが見えてくる。国内ドラマを年間100本以上鑑賞し、『文春オンライン』や『Real Sound』などでレビューを執筆してきたドラマウォッチャー・明日菜子氏は「今年の復帰の動きは、一人のタレントの事情ではなく、業界の空気そのものが変わりはじめている」と分析する。その変化はどこから生まれ、どこへ向かうのか。明日菜子氏が2025年の“再点灯した光”を読み解くーー。
みんかぶプレミアム連載「令和のアイドル ヒットの条件」
目次
「エモい」とは違う現代言葉「メロい」
突然ですが、あなたは「メロい」という言葉をご存じだろうか。音の響きこそ似ているものの、心が大きく揺さぶられた状態を指す「エモい」とは、まったく別の文脈から生まれた若者言葉である。最近はアイドルや俳優を褒める際に「かっこいい」や「かわいい」よりも頻繁に目にする表現なのだが、つまりは「メロメロになるほど魅力的」という意味らしい。Xのタイムラインから察するに、使用対象は性別を問わず、“メロければ”誰にでも使えるようだ。
魅力的だと感じる基準は人それぞれなので、概念が定まりきらないが、「メロい」には「しんどいくらいに好き」「こちらが苦しくなるほど魅力的すぎる」のような感じで、発する側の激オモ(重)感情が潜んでいるようにも思う。
意味をいまいち掴みきれないまま、使い勝手のいい「メロい」をなんとなく使っていたのだが、2025年秋、日本中の「メロい」を掻っ攫う一人の男が現れた。赤西仁である。繰り返すが、これはあくまでも2025年の出来事であり、記憶が錯乱した私が2005年の思い出を語っているわけではない。
日韓合作ドラマが起こした“赤西仁リバイバル現象”
きっかけとなったのは、10月に配信された日韓合作のNetflixオリジナルドラマ『匿名の恋人たち』。フランス映画『匿名のレンアイ相談所』を原作に、視線恐怖症の天才ショコラティエと、潔癖症の製菓メーカー御曹司が織りなす、不器用な大人たちのロマンティック・コメディだ。名作『リッチマン、プアウーマン』(フジテレビ系)ぶりとなるラブストーリー作品出演となった小栗旬と、『春のワルツ』『トンイ』で知られる韓国の国民的女優ハン・ヒョジュという超豪華タッグも話題になった。映画『君の膵臓をたべたい』『君は月夜に光り輝く』の月川翔監督をはじめ、日韓の実力派クリエイターたちも集結している。配信開始から2週間で、アジア圏を中心に世界31の国と地域のNetflixで週間TOP10入りを果たしており、勢いはまだまだ続きそうだ。
『匿名の恋人たち』が配信されるやいなや、インターネットには「赤西仁!??」という驚きの声であふれた。それもそのはず。赤西のドラマ出演は、KAT-TUN在籍時に主演を務めた『有閑倶楽部』(2007年/日本テレビ系)以来、実に18年ぶりだからである。ブレイクの決定打となった『ごくせん2』(日本テレビ系)と『anego[アネゴ]』(日本テレビ系)はどちらも2005年の作品で、20年近い年月が経とうとしているのだから恐ろしい。現在はアメリカを拠点にしており、さらに中国でも圧倒的な人気を誇る赤西を、ふたたび日本のドラマ界に呼び戻したのは、盟友・小栗旬からの「一緒にNetflixやろう」という一声だった。
小栗×赤西が放つ“平成ラブコメの香り”が30〜40代の記憶を刺激した
赤西が演じる高田寛は、ジャズバーのマスターだ。壮亮(小栗)の親友で、ハナ(ハン)が長年憧れている相手でもある。すべての女性を虜にしてしまいそうな圧倒的色男でありながらも、恋多き精神科医・アイリーン(中村ゆり)に、叶わぬ思いを抱いているという一途なギャップがたまらなかった。