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なぜ経営者はリスキリングに興味を示さないのか?リスキリング支援の第一人者がその理由と対策を解説!

(c) AdobeStock

「リスキリングが重要だ」。このような認識が広まってきている一方で、実際のところはまだ、リスキリングが一般的になったとは言えない状況にある。リスキリングが広まらない要因の一つとして、「経営者がリスキリングに関心がない」ことが挙げられる。では、なぜ経営者はリスキリングに関心がないのかについて、一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ 代表理事の後藤宗明氏が解き明かす。全3回中の1回目。

※本稿は後藤宗明著『AI 時代の組織の未来を創るスキル改革 リスキリング【人材戦略編】』(‎ 日本能率協会マネジメントセンター)から抜粋、再構成したものです。

第2回:AIは人間の仕事をどれくらい奪うのか?人間が生み出すべき「新たな価値」とは

第3回:どうすれば失業から逃れられるのか?企業に求められる「リスキリング」3ステップ

目次

「リスキリングすれば社員が辞める」の誤解

 私は企業のリスキリングを支援していますが、その支援を通じてよくお伺いする話は、「経営者のリスキリングに対する関心が低く、何も進まない」というものです。特に人事部の担当者の方々は、自社の従業員が将来の事業がどうなるかわからず不安で退職していくことを防ぎたい、と仰います。

 とにかく、リスキリングの成功事例を見るに、経営者自身がリスキリングを行い、背中を見せ、全社プロジェクト化し、新たな事業分野での成功を収めているのが特徴です。

 一方で、経営者がリスキリングに関心を持たない理由も明確にあり、その原因は、いくつかに分かれます。以下それぞれの対策について正解はありませんが、僕自身の過去の経験なども交えて、ご紹介します。

①リスキリングを導入すると社員が辞める、と思い込んでいる

[対策]リスキリング機会の提供で、逆に優秀な社員が入ってくることを伝える

 昨今の報道が原因で、リスキリングが転職のためのもの、と誤解をしている経営者の方と多くお目にかかります。実は、経営者の方からよく言われるのが、「後藤さん、寝た子を起こさないでくれ。リスキリングなんて言って、やる気になられても困るんだ。安い給料で騙しだまし働いてもらっているのに、意識が高くなって退職されたら困る」ということです。

 これは、考え方を改めなくてはいけません、といつもお伝えしています。

 確かにリスキリングに目覚めて、自社の事業ではリスキリングで習得した新しいスキルを活かせない場合、給与も何も変わらない場合、転職してしまう可能性があります。しかしながら、まずもって、リスキリングに取り組み可能な意欲的な従業員が活躍できる場所の確保、処遇の改善に取り組むことが最優先であることは言うまでもありません。

 また、もう1つ重要な視点が抜け落ちてしまっています。ここ数年間、新卒の就職活動中の学生にアンケートを取り、どんな企業で働きたいですか?という質問に対して、「自分を成長させてくれる会社」がずっと1位なのです。

 つまり、辞められることを恐れてリスキリングの機会を従業員に提供しない会社は、優秀な若い世代から見放され、徐々にリスキリングに関心のない(まま働いている)従業員だけが増えていくのです。それを逆手に取るならば、「肉を切らせて骨を断つ」決断が重要です。

 確かに、リスキリングの機会を提供したらより成長の機会に目覚めてやめる従業員も出てくるかもしれません。一方で、リスキリングの機会を真剣に提供することで、若い優秀な社員がそれを魅力に感じて入ってくる好循環が起きるのです。

 これが米国などでは一般化している正の人材流動化です。出ていく人もいるかもしれないけど、入ってくる人もいる。優秀な人が入ってくるプラスに意識を向け、従業員に成長機会、リスキリングの機会を提供することが大切です。

 特に、これからの時代、1つの会社でずっと働こうという20代の方々は極端に少なく、自分の成長のために転職という選択肢を最初から持っているので、リスキリングの機会を提供しないという考えは、時代に逆行しているのです。

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この記事の著者
後藤宗明

早稲田大学政治経済学部卒業後、1995年に富士銀行(現みずほ銀行)入行。2002年、グローバル人材育成を行うスタートアップをNYにて起業。2011年、米国の社会起業家支援NPOアショカの日本法人設立に尽力。米国フィンテック企業の日本法人代表、通信ベンチャーのグローバル部門役員を経て、アクセンチュアにて人事領域のDXと採用戦略を担当。2021年、日本初のリスキリングに特化した非営利団体、一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立。2022年、AIを利用しスキルベース組織への変革を支援するプラットフォーム、SkyHive日本代表に就任。

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