東北大は推薦100%、東大は一般枠削減…2026年入試で起きる“受験ルール大改変”。まだ偏差値だけで戦いますか?

2026年度の大学入試は、「受験の前提」そのものが書き換わる転換点になりつつある。これまで日本の大学受験を支えてきた〈学力試験中心〉〈一般入試至上主義〉という枠組みが、静かに、しかし確実に揺らいでいるからだ。それは単なる制度調整ではなく、大学がどのような人材を評価し、社会に送り出そうとしているのかという“思想”そのものの転換を示している。学歴活動家のじゅそうけん氏が注目する視点を手がかりに、2026年度入試が何を変え、受験生・保護者は何を見誤ってはいけないのかを考えていくと同時に、「これからの日本社会が、どんな人材を必要としているのか」を読み解いていくーー。
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2026年度入試は「大学受験の前提」が書き換わる転換点だ
2025年も年の瀬に差し掛かっているが、私じゅそうけんは、早くも来年以降の受験戦線に思いを馳せている。というのも、最近発表されたいくつかのニュースは、これまでの日本における「大学受験のあり方」や「高学歴の価値」に大きなメスを入れるものだったからだ。2026年度の大学入試は、日本の高等教育のあり方を根本から問い直す大きな変革の年となりそうだ。
東北大学の「推薦100%計画」、早稲田・慶應による「帰国子女入試廃止」、そして東京大学の「一般入試枠削減」。今回取り上げるこれら3つのニュースは、単なる制度変更にとどまらず、大学が求める人材像や社会が求める人物像、評価軸の変化を象徴している。
そこで今回は、上記3つのニュースを解説しながら、その影響や今後の動き、そしてこの改革が意味するものは一体何なのか。徹底考察していきたい。保護者の方など、従来の受験の価値観をお持ちの方で、これからお子さんが受験を控える方などは、ぜひこの記事を参考に、お子さんと一緒に受験戦略を練っていただけたら幸いである。
東北大学「推薦100%構想」ーーペーパーテスト中心主義の終焉
東北大学は、2050年までに入学者選抜を「総合型・学校推薦型選抜」に完全移行する方針を打ち出し、ネット上で大騒ぎとなった。現在でも約30%が推薦・AO入試なのだが、2026年度以降はその割合をさらに拡大し、一般選抜の縮小が進むと見られる(ただ、推薦組も共通テストは必須であるなど受験学力の評価軸は残す方針ではあるようだ)。
この背景には、教育機関が重視する「非認知能力」の評価がある。従来のペーパーテストでは測れない、「主体性・協調性・探究心・論理的思考力」などを持つ学生を確保するため、面接や活動報告書、小論文での表現力も含めた総合評価が主流になりつつあるのだ。東北大学は「学力偏重からの脱却」を掲げ、地域枠や国際バカロレア入試、科学オリンピック入試など多様な選抜方式を強化している。
この流れが加速することで、探究学習や課外活動の重要性が増し、進学校や一部の先進的な取り組みを行う高校においては、カリキュラムベースで主体性や協調性を養う取り組みへの改革が進むかもしれない。 また、大手予備校など受験産業における指導内容に変化があるのかなど、今後も注視していきたい。
早稲田・慶應「帰国子女入試廃止」ーーグローバル人材評価の新基準
長年、海外経験者の主要な受験ルートだった「帰国子女入試」が、早稲田大学と慶應義塾大学で相次いで廃止されることが決定した。