教育投資ジャーナリストが「おうち英語」の限界と帰国子女たちが払う代償を指摘…将来の不確実な現代に、親が子供のためにしてあげられるたった1つの正解

生成AIの台頭により、「将来、子供に何を学ばせるべきか」という問いへの答えがかつてないほど不透明になっている。中学受験熱が過熱する一方で、早期英語教育の是非や大学入試改革など、親が直面する課題は山積みだ。
今回は、著書『中学受験の“不都合な真実”: サピックス、鉄緑会、早期英語の真価 (みんかぶマガジン新書)』の売れ行きも絶好調な教育投資ジャーナリストの戦記氏にインタビュー。帰国子女枠のリアルな実態から、グローバルな賃金体系にアクセスするための「戦略的英語学習」、そして迷える親が子供に示すべき「人生の地図」の書き方まで、忖度なしの視点で語っていただいた。全2回の第2回。
みんかぶプレミアム特集「幸せをつかむための中学受験戦略」第3回。
目次
なぜ今「英語」なのか――賃金体系の「脱出」という生存戦略
――中学受験や大学受験においても、英語の比重がますます高まっていますね。
はい。受験戦略上、英語には二つの大きな特徴があります。一つは、ある程度まで到達すればスコアが「ブレない」安定した得点源になること。もう一つは、今の入試システムにおいて「帰国子女組」が圧倒的に有利であるという事実です。算数のような「当たり外れ」がある科目と違い、英語は幼少期からの積み重ねがそのまま反映される「虐殺」に近い差を生みます。
――単に受験のためだけでなく、将来のキャリアにおいても英語は不可欠だと?
私が英語を強調する最大の理由は、日本の賃金体系とグローバルの賃金体系の差が大きすぎることにあります。日本語だけで完結する雇用体系の中に留まっていては、どれだけ努力しても限界があります。しかし、英語ができるようになれば、2倍から3倍もの差があるグローバルな賃金体系にアクセスするチャンスが生まれます。英語学習とは、単なる「活躍の場を広げる」といった抽象的な話ではなく、「どの賃金体系に所属したいか」という極めて実利的な生存戦略なのです。
「おうち英語」の限界と帰国子女たちが払う代償
――最近、YouTubeなどを活用した「おうち英語」が手軽さから人気ですが、戦記さんはこの流れをどう見ていますか?
正直に申し上げると、ただYouTubeを聴かせているだけでは、言語習得としての効果はほとんど期待できません。言語には「閾値(いきち)」があり、ある程度まで圧倒的にやり込まない限り、身にはつかないのです。
特に深刻なのは、一度身につけた英語も、やり続けない限りすぐに忘れてしまうという点です。私が見てきた帰国子女の親御さんたちは、この「維持」のために凄まじい努力をされています。週末に車を1時間走らせて日本語学校に通わせたり、帰国後も「帰国子女アカデミー(KA)」のような専門塾に通わせて、毎週英語を話す環境を死守したり。それだけの覚悟と時間、そして多額の教育投資を継続できるかどうかが問われる、非常に過酷な世界なのです。
将来の不確実な現代に、親が子供のためにしてあげられるたった1つの正解
――迷える親たちに対して、戦記さんが最も伝えたいアドバイスは何でしょうか。