東大理三卒医師「中学受験は年収を上げる『課金ブースト』である」中学受験の知識は「エリートの常識」

かつてないほど中学受験熱が高まる現代。多くの親が「将来の年収」や「安定したキャリア」を夢見て、多額の教育投資を続けている。しかし、その投資は果たして期待通りの見返りをもたらすのか。
今回は、中学受験で開成中、大学受験で東大理三というエリート街道を歩み、現在は医師として活躍するさぐさぐ氏にインタビュー。
初の著書『東大理三の受験論: 中学受験、大学受験の最強攻略法 (みんかぶマガジン新書)』の売れ行きも好調な同氏に、受験勉強が年収に与えるリアルな相関関係から、各進学校が子供のパーソナリティに与える「校風」の影響、そして教育投資の限界まで、当事者だからこそ語れる「学歴の真実」に迫った。全2回の第1回。
みんかぶプレミアム特集「幸せをつかむための中学受験戦略」第5回。
目次
中学受験は年収を上げる「課金ブースト」である
――まずお聞きしたいのは、中学受験をすることで、将来の年収が高まる可能性についてです。さぐさぐさんはこの相関関係をどう捉えていますか。
基本的に、中学受験は年収を上げることに繋がると考えています。その最大の理由は、大学受験で問われる内容がある程度決まっていて、ゴールの見えている要素が強いためです。数学であれば二次方程式から微分積分まで、歴史であれば特定の範囲といった具合にやるべきことが明確です。この「決まったゴール」に対して、中学受験を通じて早めに勉強を始められることは、後の大学受験、そして就職において大きなメリットになります。
――「メリット」というのは、具体的にどの程度の期間有効なのでしょうか。
キャリアの最初の3年間の年収を上げられるか、という問いに対しては「100%イエス」です。いわゆる「ファーストキャリア」で良い会社に入るための守備力として、学歴は非常に強力です。 ただ、その効果が40歳、50歳まで続くかというと、少し怪しい部分もあります。遺伝学の研究でも言われることですが、若い頃は教育などの環境要因が大きいものの、年齢を重ねるほど遺伝要因、つまり本人の資質が占める割合が大きくなっていくからです。中学受験や学歴による「ブースト効果」は、年を追うごとに減衰していくものだと理解しておくべきでしょう。
親の背中を追うエリートの宿命
――さぐさぐさんご自身も、親御さんの教育投資によって「ブースト」を受けたと感じていますか。
間違いなくそうですね。私は開成から東大理三に進み、在学中にはプリンストン大学への留学も経験しました。今こうして、いわゆる「キラキラしたキャリア」を歩めているのは、振り返れば小学生の時に親がサピックスに入れるという教育投資を惜しまなかったおかげです。これを私は一種の「課金ブースト」だと捉えています。
――興味深いのは、恵まれた環境で育ちながらも、ご自身が医師としてお父様と同じような道を歩まれている点です。
父は決して裕福ではない環境から独力で数学を武器に医者になった人ですが、結局、私は父と同じようにクリニックで働いたり開業したりといったキャリアに進んでいく気配がどんどん強くなっています。 「子供の頃よりも、大人になってからの方が親に似てくる」というのは私自身の強い実感です。どれだけ教育でブーストをかけても、最終的には親が持っている資質や生き方に収束していく。エリート層にとって、これはある種の逃れられない「宿命」のようなものかもしれません。
学校選びが決定付ける「パーソナリティ」開成出身者にはどんな人が多いのか
――中学受験で「どの学校に入るか」は、その後の人生にどう影響するのでしょうか。最近では、出身校によってその後の行動特性が変わるという話もよく聞きます。