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K-1、ONE PIECE、オアシス…ニューヨーク嶋佐和也、“カルチャーど真ん中少年”が売れっ子芸人になるまで(聞き手・吉田豪)

 芸人の「好き」は、わかりやすい武器になる。音楽好き、プロレス好き、漫画好きーーその言葉ひとつで、仕事が増えたり、人脈が広がったり、イメージが固まったりもする。けれど本当は、その“好き”がいつどこで芽生えて、何に引っ張られて形になっていったのかまでは、意外と語られない。芸人・ニューヨーク嶋佐和也は、ど真ん中のカルチャーを愛しながら、同時に「イキった空気」や「ノリの強要」には露骨に距離を置く男だ。プロレスと格闘技、ギャグ漫画、ブックオフの棚で掘ったCDーー断片をつなげていくと、いまの嶋佐の輪郭が立ち上がってくる。プロインタビュアーの吉田豪氏が、嶋佐の“カルチャー遍歴”を入口に、その人となりを前編・後編にわたって掘り下げた。

 K-1、ONE PIECE、オアシス…ニューヨーク嶋佐和也、“カルチャーど真ん中少年”が売れっ子芸人になるまで(聞き手・吉田豪)

 みんかぶプレミアム連載「吉田豪の月イチ気になる話。」

目次

嶋佐和也が語るプロレス遍歴「僕が一番観てたときは、一番の低迷期」

ーーお久しぶりです!

嶋佐 会うのは下北沢のイベントぶりっすよね。

ーーそうです。実はほぼ10年ぶりなんですよ。

嶋佐 ホントですか!

ーーボクも調べてビックリしたんですけど、2016年4月なので9年半前です。

嶋佐 ヤバッ、そんな前でしたっけ?あのときのこと、めちゃくちゃ覚えてます。

ーーキングコング西野さんを嫌いな人たちが集まって、みんなでシュートを仕掛けるイベント(16年4月17日(日)、北沢タウンホールで開催された『西野亮廣と西野を嫌いな4人の男たち』。出演はよゐこ濱口、ドランクドラゴン鈴木、ニューヨーク、吉田豪)だったんですけど、あの中で最若手ながらちゃんとキツめに西野さんをイジッてたニューヨークがすごかったのをよく覚えてます。そもそも、なんであの企画に抜擢されたんですか?

嶋佐 あのイベントを企画したスラッシュパイルの片山(勝三)さんにはずっとお世話になってたからじゃないですかね。西野さんとはほぼ面識なかったんで。

ーー屋敷さんはそれまでただの西野ファンだったんですよね。西野さんのブログを読み、お母さんとロフトプラスワンのイベントにも行き。

嶋佐 そんな話をしてたからですかね。そこから西野さんとご一緒させてもらうときにはよくしていただいてます。

ーーあのときも西野さんは、次々とぶつけられる悪口にちゃんと受け身を取っていて、嫌われ芸のプロだなと思いました。

嶋佐 西野さんすごいですよね、たしかに。

ーープロレスを通ってないのに感情表現がアメリカンプロレスっぽいんですよ。悔しいときは頭をかきむしってみたり、イライラするときはウロついてみたり。

嶋佐 あと番組でゲームコーナーとかするときも、まっすぐに不安がったり、悔しがってたりするんですよ。バランス感覚がすごいっすよね。

ーーボクが覚えてるのは、控室で話してたら、ドランク鈴木さんを筆頭に「俺、実は西野そんな嫌いじゃなくて、梶原のほうが嫌いなんだよ」「ビジネスでこういうふうにやってるけどさー」みたいなことを皆さん言ってたことでした。

嶋佐 僕は、吉田さんがビートたけしさんの“あの話”を楽屋で話してくれたのを覚えてます。

ーーたけしさんの人違い恫喝事件ですね。ちょうど、まだ脅されたてぐらいの時期(トラブルがあった『ビートたけしのTVタックル』の放送は2015年12月7日)だったんですよ。そして、ボクとはそのとき会っただけなのに、嶋佐さんが金髪にした頃、ことあるごとに「髪が吉田豪みたいになってる」って言われてたのが当時、エゴサで何度も引っ掛かりました。

嶋佐 ああ、それ誰かが言ってきたんですよ。ちょっと伸びたらホントに吉田さんみたいな髪型になったんで。

ーーもともと嶋佐さんは、ボクが所属していた『紙のプロレス』とかも読んでたって噂は聞いてます。

嶋佐 そうです。学生時代、まだ『週刊ゴング』と『週刊プロレス』と両方あって。僕は『ゴング』派だったんですよ。でも、僕が中学高校で一番観てたときは振り返ってみたらたぶん一番プロレス界がつまんないときでしたね。僕が中2だった2000年は、それこそTEAM 2000とかで。一番の低迷期(笑)。

ーー新日本も格闘技路線のアルティメットクラッシュとか、おかしなことになってきてた時期。

嶋佐 そういうのに巻き込まれだして、いま思えば何やってんだ、みたいな。G-EGGSのTシャツとか買ってたもんな、吉江(豊)さんの。PRIDEとかK-1が盛り上がってて全部観てましたね。めっちゃ好きでした。

ーー『ゴング』派だと『紙プロ』はそんなに好きじゃなかったんじゃないですか?

嶋佐 たしかに『紙のプロレス』はそんなに読んでなかった。なんか当時、オシャレな感じしたな、子供だったんで。大人が読むプロレス誌、みたいな。最近、格闘技はRIZINとかチョロチョロチェックしてますけど、プロレスはわかんなくなっちゃったな。

『豪の部屋』がきっかけでD.Oにハマる

ーーボクがやってるSHOWROOMの『豪の部屋』って番組のアーカイブを観た感想も書いてくれたことがありましたね。

嶋佐 はい。永野さんが好きで、永野さんのラジオとかめっちゃ聴いてて。それで吉田さんと話されてるのを観させてもらいました。

ーーあれがきっかけでD.O.さんにハマッたんですよね。

嶋佐 ヒップホップも好きだったんですけど、練マザファッカーはあんまり聴いてなくて。もちろんD.O.さんのことは知ってたんで、たまたま去年の単独ライブの漫才で、俺が「いろんな番組のオリジナルテーマソング、Creepy Nutsばっかりやってるから、俺も負けてらんねえからいろいろ作ってきた」って言って、曲が全部D.O.さんっぽいってネタをやったんですけど、それをD.O.さんご本人が反応してくださったりしてうれしかったです。ヒップホップも最近はわかんない、全部学生時代で止まっちゃってますね。

ーー永野さんが事務所から怒られるきっかけを作ったのはニューヨークOfficial Channelなんですか?

嶋佐 鬼越(トマホークのYouTube)のインタビューと時期がほぼ一緒だったんですよ。鬼越のほうが1~2週先だったんじゃないですかね。そのすぐあとに僕らのYouTubeに出てもらって、それがすごいおもしろくて、永野さんたっぷり話してくれて。永野さんは鬼越がきっかけって言ってますよね。

ーーサンドウィッチマンをいじりすぎてグレープカンパニーに怒られて。唯一の共演が2016年ですけど、2016年の新宿ロフトの大喜利イベントも観てます。

嶋佐 マジっすか?ぼく脳とかトリプルファイヤー吉田さんとかとやったやつ?

ーーそうです、新春アイドル大喜利。

嶋佐 ああ、当時まだ「ぱいぱいでか美」さんの頃のでか美ちゃんとかもいらっしゃってて。

ーートリプルファイヤー吉田さんが控室で存在感を消していたら、消しすぎたせいで、でか美さんの“ぱいぱい”を目撃したってそのとき言ってました(笑)。ボクはその日、ロフトプラスワンに出てたら、ロフトがヤバいことになってるって噂が流れてきてすぐ観に行って。「かなりの事故イベントでスリリング!」って当時ツイートしました。

嶋佐 たしかにあれなんだったんだろう?ぼく脳って、もともと東京吉本NSCの同期なんですよ。仲良くて、いまもたまに会ったりするんですけど、彼が呼んでくれたのかな?

ーー大喜利に挑戦するのが地下アイドルで、司会がぼく脳さんと嶋佐さんっていうのが攻めてますよね。

嶋佐 そうです。あれたしかに不思議なイベントでしたね。覚えてます、ああいう類のイベントって滅多にないんで。

ーー解説はトリプルファイヤー吉田さんと水野しずさんで。

嶋佐 水野しずさん!トリプルファイヤー吉田さんとはいまも共通のバンドマンの友達がいて、たまに飲んだり。飲み友っすね。あれで吉田さんはじめましてだった気がするな。あれ観られてたんですね。

ーー歴史に残る事故イベントでしたよ(笑)。

嶋佐 俺は断片的な映像しか覚えてない、盛り上がってたのか盛り上がってないのかも覚えてない。

ーー大喜利のシステムをそもそもわかってないアイドルが多かったんですよ。

嶋佐 俺、焦ってどうにかしようってあんまり思わないんですけど、どうにかしようってなった記憶があります(笑)。

「あの人は一生、誰の敵にも味方にもならずに…」嶋佐が言及した“吉田豪像”

ーーあとボクの名前を出してくれたのは、『テラスハウス』騒動が起きる直前に、YouTubeで『テラスハウス』の考察とか、いろいろ動画で語ってたじゃないですか。

嶋佐 ああ、相方が『テラスハウス』めっちゃ好きでずっと観てて。

ーー騒動が起きる前から「最近、番組の方向がおかしくなってきてる」とか怒ってて、それを騒動後にボクが拡散したらものすごい警戒して、屋敷さんが「吉田豪さんがずっと不穏な動きをしてる。なにも言わずにニューラジオの動画を貼りつけたり。あの人は敵か味方かわからんから」って言ってたんですよ。

嶋佐 そんなんありましたっけ(笑)。

ーーそしたら嶋佐さんが、「あの人はどうせ誰の敵にも誰の味方にもならず一生を終えるだろう」って言ってました(笑)。

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この記事の著者
吉田豪

1970年、東京都出身。プロ書評家、プロインタビュアー、ライター。徹底した事前調査をもとにしたインタビューに定評があり、『男気万字固め』、『人間コク宝』シリーズ、『サブカル・スーパースター鬱伝』『吉田豪の喋る!!道場破り プロレスラーガチンコインタビュー集』などインタビュー集を多数手がけている。

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