石丸伸二が音喜多駿に仕掛けた「公開処刑」の裏側…「ReHacQ」で勃発したインテリおじさん同士の大喧嘩を『街録ch』三谷三四郎が読み解く

 地上波からNetflix、さらにはAbema、U-NEXTまで――。コンテンツが乱立する今、人を真に熱狂させるのは「面白い」の先にある「ヤバい」番組だ。1000人以上の剥き出しの人生を記録し続けてきた『街録ch』ディレクター・三谷三四郎が、エッジの効いた一作を独自のバイアスで読み解く。

 連載「今、ヤバい番組」第2回は、2026年1月19日に「ReHacQ」でライブ配信された怪奇とも言えるあの対談に迫る。

ヤバすぎたあの対談…(ReHacQより)

目次

人気YouTube番組である日突然起きた「公開処刑」

「みんかぶマガジン」読者の視聴率はおそらく100%であろう大人気政治経済YouTubeチャンネル『ReHacQ』で配信された怪作。自分自身、政治への関心はそこまで高くはないため、熱心な「ReHacQウォッチャー」ではない。しかし、今回の準主人公である音喜多駿・元参議院議員(現在選挙2連敗中で、実質的な職業は政治系YouTuber)を、西村ゆかさん(ひろゆき氏の妻)からご紹介いただき、『街録ch』に出演してもらうことが決まった。

 その事前リサーチとして参考になる動画を探していたところ、石丸伸二氏との1時間28分に及ぶ生配信アーカイブ「【ReHacQ生配信】「話したいことがある」なぜ?まったり緊急生配信【石丸伸二vs音喜多駿vs高橋弘樹】」に辿り着いた。

 石丸氏がReHacQの高橋Pに直接打診し、この対談は実現したそう。内容は石丸氏が音喜多氏に質問を浴びせ、時には強い言葉で非難しながら、過去の発言と現在の政治家としてのスタンスとの矛盾を冷徹に突いていくもの。

 政治に疎い自分から見ても、この2人の空気は異様だった。単純に性格が合わないとか、思想が相容れないといったレベルを超え、石丸氏の放つ「圧」が尋常じゃない。それに対して音喜多氏はなぜか「なんでここまで言われなければならないんだ」という反論をするわけでもなく、石丸氏の口撃に対し、理路整然と弁明しながら、時折、苦い顔を見せながらもどこか納得した様子で防御に徹している。

 この奇妙すぎる「公開処刑」の正体は何なのか。2人の因縁を何も知らずにクリックした自分にとっては、謎が深まる一方。しかし、中盤にその理由が明かされた。

「あなたは泡沫で終わる」発言で生まれた1年半の憎悪

 高橋Pの「(音喜多さんの)何が嫌なんですか?」という問いに対し、石丸氏は「都知事選の時ですよ」と切り出した。

 当時、安芸高田市長だった石丸氏が、都知事選出馬前に維新の会へ支援を仰ぐため、議員会館を訪れた際、石丸氏の要請に対し、維新側は「公認でなければ協力できない」と回答。どの党とも等距離を保ちたい石丸氏がそれを断ると、当時党のNo.3 政調会長だった音喜多氏はこう言い放った。

「ウチから出なければ、石丸さん泡沫(ほうまつ)で終わりますよ」

 選挙において当選の可能性が極めて低い候補者を指す「泡沫」という言葉。要約すると「維新の看板なしで出馬すれば、あなたは雑魚だ」という冷徹すぎる宣告。ここの一言が石丸氏の心に深く刻まれ、1年半が経過した今もなお、巨大な遺恨として残っていたのだ。

・「野党第二党のNo.3」VS「広島の片田舎の市長」

・「音喜多氏40歳」VS「石丸氏41歳」(当時)

 大企業の幹部と町工場の社長のような、圧倒的な立場の差のある同世代から、このような屈辱的な言葉をくらい、平気でいられる人間は多くはないはず。

 この1年半、石丸氏は都知事選で落選こそしたものの、「泡沫」どころか蓮舫氏を抑えて得票数2位となり、「石丸旋風」は社会現象となった。今や政治系インフルエンサーのトップに君臨している。一方の音喜多氏は、その後の選挙で2連敗。立場は完全に逆転した。石丸氏は、自身のファンが音喜多氏を支援していると誤解されることを嫌い、その「ケジメ」をつけるために、わざわざ高橋Pにこの場をセッティングさせたのだ。

 もし音喜多氏が今回の衆院選に出馬していたなら、石丸氏は徹底的に彼を叩き潰す気概だったのではないか。これはあくまで憶測だが、それほどまでに「泡沫」という言葉は、何の後ろ盾もなく1人で戦おうとしていた男にとって、許し難く、晴れることのない憎悪として、今もなお残っていたのだろう。

インテリ版『ブレイキングダウン』の衝撃

 この個人間の「じっくりコトコト煮込まれた復讐劇」を、ある種のバトル系エンタメとして成立させている『ReHacQ』の凄み。

 YouTubeで不良同士の喧嘩コンテンツを『ブレイキングダウン』が独占する中、インテリ同士の喧嘩コンテンツは『ReHacQ』の一強状態にある。絵的な派手さはないが、石丸氏も音喜多氏も極めて弁が立ち、何に対して怒っているのかよく分からない時間が続いても、その言葉の応酬の面白さだけで、気づけば60分があっという間に過ぎてしまう。

 そして、こんなエグい場所を用意しておきながら、MCの高橋Pが「でも、これいい話じゃないですか」と、まったくいい話ではない泥仕合を強引にハッピーエンドへ回収しようとする剛腕ぶりも圧巻。その姿は、『ブレイキングダウン』で時折ガチギレしながらも場を支配する朝倉未来のようでもあった。

 編集コストをかけず、無修正のまま垂れ流される予測不能なハラハラ感。このインテリ中年男性たちのドロドロした感情のぶつかり合いは、今までにない新しいエンターテインメントの形だ。

 『街録ch』でこれまで何名か政治家を取材してきたが、「演説慣れ」していることもあり、放っておけば延々と自分の主張を喋り続け、見せたい自分だけをパッケージして提供しようとする人も中にはいた。それでは選挙演説と何ら変わらず、動画としては面白みのかけらもない。

 しかし、この『ReHacQ』での音喜多氏は違った。石丸氏に罵倒され、高橋Pに「嘘つきでカッコつけ」と弄られ、同時接続2.5万人の前で恥を晒しながらも、彼は決してその場から逃げ出さなかった。苦い顔をしながらも、この屈辱を耐え抜いた先に「未来の選挙で一票を投じてくれる誰か」がいるはずだと信じているような、剥き出しの野心。そこに、政治家というよりも「生物」としての強さを感じ、がぜん興味が湧いた。

政治家・音喜多駿に見た「剥き出しの生存本能」

 この記事を書いている今、音喜多氏の取材は終わっており、単独演説動画になることはなく、『街録ch』らしさのある面白い対話を撮ることができた。

 予定調和を嫌って始めた『街録ch』が7年目を迎え、マンネリ化し、予定調和な番組になりつつある中、今回のリハックの動画を見たことで、改めて人々が見たことのないものを探さなければならないと思えたので高橋Pに感謝!!

 ちなみに高橋Pには会ったことは一度もないが、ひろゆかない氏(ひろゆき氏のモノマネインフルエンサー)とのリモート配信で4年前に喋ったことはある。その時にひろゆかない氏から「日経テレ東大学(高橋Pによる番組)とかどう見てますか?」と聞かれ、当時、本当に見たことがなかったので「見たことないです」と失礼なことを言ってしまった。今回の音喜多氏の「泡沫で終わりますよ」的なことになっていないか……。まぁそれはそれで… ということで、また次回!

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