仕事でだまされたくない・・・ビジネス数学の第一人者が教える「数学的思考力」の重要性

「数学なんて社会に出てから使わない」
そう思っている人ほど損をしているかもしれない。
効率的に仕事を進める人、合理的な投資判断ができる人、新しい解決策を出せる人、こうした「デキる人材」に共通するのが、数学的思考力だ。
「数学的思考力とは、単に難解な受験問題を解く力ではありません。複雑な状況を図式化して考えたり、抽象化して理解したりする力です。日々の仕事や投資、買い物など幅広い場面で役に立ちます」
そう語るのは、ビジネス数学の第一人者で永野数学塾を主宰する永野裕之氏だ。この力を持たない人は、キャリアでも資産形成でも大きな機会損失につながりかねない。
今回、永野氏に数学的思考力を測る問題を6問用意してもらった。ぜひチャレンジしてみてほしい。連載全3回の第2回。
目次
会議で飛び交う数字に騙されない方法
会議で「LTVが上がった」「CVRが改善した」と報告される。投資の場では「PERが15倍」「ROEが10%」といった数字が並ぶ。こうした言葉を聞いたとき、あなたは本当にその意味を理解できていますか?
数字をそのまま受け取ってしまうのは危険です。なぜなら、前提となる分母や計算方法を理解していないと、数字の本当の意味を読み違えてしまうからです。
本来であれば、そこで一度立ち止まって考えられるはずです。「分母は何ですか」「母数は先月と同じですか」「解約率は下がっていますが、新規獲得は減っていませんか」。こうして数字の前提を確認し、合理的に問い返せるかどうかで、議論の質は大きく変わってきます。
ビジネス用語や投資指標の多くは、「計算式」に分解して考えることができます。この構造を理解できていないと、言葉の意味を十分に咀嚼しないまま、表面的に追いかけることになってしまいます。数字を使いこなす人になる前に、まずは数字に惑わされない人になる。それが社会人に求められる数学力です。
次の問題を解いて、あなたの「本質を抽出する力」を測ってみましょう。
【問題1】3つのビジネスに隠れた共通点
次の3つのビジネスがあります。
● 月額制の学習塾
● サブスクリプション型のソフトウェア(SaaS)
● スポーツジム
一見異なるビジネスモデルですが、これら3つに共通する「最も重要な経営指標」があります。それは何ですか?
【問題2】成約率が高い方に予算を投下すべきか?
営業成績を比較して、どちらの支社に予算を投下すべきか検討しています。
● A支社:訪問件数10件、成約2件 → 成約率20%
● B支社:訪問件数100件、成約15件 → 成約率15%
「成約率が高いA支社に予算を投下すべきだ」という意見が出ました。
この判断には問題があります。どのような問題か説明してください。