東大医学部卒医師「『AI時代だから受験勉強をする理由はない』は間違っている」…「SAPIXから鉄緑会」がこれからも東大合格の王道ルートであり続ける理由
日本の受験界の頂点、東京大学理科三類(通称:東大理三)。東大理三合格者はどのようにして受験を突破したのか。今回は、『東大理三の受験論』の出版記念イベントとして、共著者のさぐさぐ氏とSaki氏をお招きし、その驚異的な頭脳の裏側やAI時代におけるキャリア形成について語ってもらった。
東大理三合格者が実践する速読術から東大を目指すための「王道ルート」まで、受験生から保護者まで必見の内容となっている。短期連載全3回の第3回。
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目次
AI時代の勉強に価値はないのか…東大理三合格者が語る2つの理由
――AIの発達により仕事がなくなるかもしれない時代に、なぜあえて辛い勉強をする必要があるのでしょうか?
さぐさぐ:理由は2つあると考えています。1つは「リーダーになるため」。組織では、業務を深く理解している人がリーダーになり指示を出します。
大学受験で勉強のできる人が医学部に入って医者になるのはなぜかというと、病院やクリニックで起きていることを理解して、かつ、患者さんの身体的な状況も理解して、いろいろな人に正しく指示を出す必要があるからです。日本という国は、優秀な人にリーダーシップを取れる医者になってほしいと考えています。
なので、18歳の段階で学力で人を選別して将来の医者を選びましょうということだと思うんですよね。
若い頃に勉強しておいたほうが、将来リーダーになって待遇も良くなりますよというのが、子供に勉強を勧める理由だと思います。
もう1つは「好奇心のため」 。私は紅茶が好きなんですが、ある程度知識がないと楽しめない部分があるんですよね。
例えば紅茶の淹れ方1つとっても、ティーカップ1つで3グラム茶葉入れて3分煮出すようにしたり、産地によって味わいがかなり異なったりで楽しみ方が変わってきます。
つまり興味ある分野を勉強することで、人生が豊かになる部分もあるわけです。そのために勉強するのも1つの考え方だと思います。
なぜあなたは勉強するのか?――「幸福」を定義し、逆算する
――Sakiさんは、勉強する意味についてどう考えていますか?
Saki: 私は、勉強とは「自分らしい幸福を形にするための準備」だと定義しています。
AI時代において、単なる知識の所有には以前ほどの価値がなくなっているかもしれません。しかし、私たちが人生で追求する「幸福」の本質は変わらないはずです。
幸福には、物質的な豊かさだけでなく、「自分の能力を誰かのために役立てている」という実感や、周囲からの信頼といった精神的な充足が不可欠です。ベーシックインカムのような経済的な担保だけでは埋められない、人間ならではの「自己実現」の欲求ですね。
「自分は社会のどこで、どのように貢献したいのか」というゴールをまず描き、そこから逆算してみる。すると、AIに代替されにくい、人間関係の機微を読み取る力や、複雑な社会問題を構造化する力が自ずと必要になります。
医師や教師、あるいはこの世にまだ存在しないものを作る起業家など、誰かの人生に深く関わる領域に関連する勉強は、今後も学び続ける価値が残り続けるでしょう。勉強を通じて、社会の中で「相対的に優れたポジション」を目指すことは、決して誰かを蹴落とすことではなく、自分がより大きな責任を引き受け、社会にポジティブな影響を与えるための手段なのだと私は考えています。