なぜゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント社長はSNSで注目を浴びまくるのか…「最終学歴=ファーストキャリア説」について学歴活動家が考察
近年、学歴ではなくファーストキャリアこそがキャリア全体の成功に重要だ、という説が実しやかにささやかれている。果たして本当なのか。学歴活動家のじゅそうけん氏は「必ずしもそう言い切れない」というーー。
みんかぶプレミアム連載「コスパと予後から考える学歴論」
目次
最終学歴=ファーストキャリア説は本当か
「最終学歴とは何か」。
大学受験の世界を長く見つめ、自らも“学歴活動家”なる怪しい肩書きを授かった私・じゅそうけんにとって、このテーマは重要なライフワークでもある。
一般に「最終学歴」といえば、高校・大学・大学院など、最後に在籍した教育機関を指す。
しかし近年、特にSNSやキャリア系インフルエンサーの間で、従来の意味を揺るがす新しい主張が生まれている。
それが「ファーストキャリア=最終学歴説」だ。
つまり、転職が当たり前となった現代においては、大学で何を学んだか以上に、新卒でどの企業に入ったかが、その後のキャリアの“学歴”として扱われるという考え方である。では果たしてこの説は本当なのだろうか。学歴とキャリアの両方を長年考察してきた私の視点から、できるだけ冷静かつ多面的に論じてみたい。
「ファーストキャリア=最終学歴」論の前提にあるもの
まず、この主張が生まれた背景を理解しておく必要がある。
現代の就職市場において、転職は珍しい話ではなくなった。入社後3年以内の離職率は高止まりし、20代後半で複数回の転職を経験する人も珍しくない。
その中で、新卒でどの企業に入ったかは、その後のキャリアの“スタートライン”として極めて重要視されている。
上記を誇張して、「新卒はベンチャーは避けてとりあえず大手に行け」という主張も見られるが、本質は「戦略的中小」の考え方とよく似ている。
すなわち、「将来得たい結果に到達するために、後から効いてくる選択を今する」という発想だ。近年は5年以内に転職することを前提に、BIG4やアクセンチュアといったコンサルティングファームを志向する就活生が後を絶たない。
ファーストキャリアとは将来のキャリア形成を大きく方向づける“環境選び”なのである。
その意味では、「ファーストキャリア=最終学歴」論には一定の合理性がある。
なぜなら、学歴とは本質的に「環境選択の履歴」であり、キャリアも同じく「どの環境で能力を育て、どの市場で評価されるか」という選択の連続だからだ。
ファーストキャリアの“重さ”を実感した者の意見
一方で、この考えに心がざわつく人も少なくないはずだ。
私の経験則だが、ファーストキャリアを「ミスった」と感じている人ほど、この説には強く同意している。
20代前半という、まだ何者でもなく、何にも染まっていない時期に、どんな環境に身を置くかは想像以上に重大な意味を持つ。
実際、私も新卒の頃に得られたはずの経験や視座を得られず、後から取り返すために多大な努力が必要になった。
新卒で大企業に入れなかった者は、同世代の「普通のライン」にたどり着くために何倍もの苦労や努力が必要になると考えてもいいだろう。
だからこそ、「ファーストキャリアが全てを決める」という議論は、合理的である一方で、残酷さを伴っていることも否定できない。
20〜21歳頃の選択が全てであると言ってしまうと、それを完全に理解していない大多数の学生にとって救いの道はないのか、という話になってしまう。
企業選びは「ポテンシャル評価が効く最後のタイミング」
では、なぜファーストキャリアはそこまで重視されるのか。その理由の一つは、ポテンシャル採用が通用する最後のフェーズだからだ。
中途採用では、「即戦力=業務遂行能力」が重視され、正直学歴すらほとんど意味をなさなくなる。
しかし20代前半までは、企業は依然としてポテンシャル、すなわち「これから育つ可能性」を重視する。だからこそ、若者が比較的“社格の高い企業”にアクセスできる最初で最後のチャンスであるといっても過言ではない。これは本人の能力以上に、企業側の採用ポリシーによって可能になっているポイントでもある。
逆に言えば、最初に社格の高い企業に入社できれば、そのブランド力は次の転職で強力に効く。
福岡大学出身で、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントで代表取締役社長を務める堤健朗氏もその学歴に注目が集まりがちだが、新卒で富士銀行(現みずほ銀行)に入行できたからこそ今のキャリアがあるのは間違いないだろう。