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BTSが景福宮・光化門に帰って来る・・・『ARIRANG』初の新曲ステージ、それはBTS の故郷、そしてARMYすべての心のふるさと「BTS THE COMEBACK LIVE | ARIRANG」

(c) AdobeStock

連載『BTS第2章 新たな旅へ。』

目次

ふるさとの魂

 景福宮にBTSが帰って来る。

 2026年3月21日、BTSのカムバック無料公演。『ARIRANG』初の新曲ステージとなる。

 景福宮は単なる観光地ではない。韓国の歴史、いや多くの世界遺産と同様に、人類の遺産でもある。

 それでも、韓国人にとってのその特別はひときわだ。

 ARMYにとってもまた、そうだろう。

 光化門の勤政殿といえばBTSのステージであった。かつて朝鮮王朝で即位式の行われた神聖な場で、現代の神聖なパフォーマンスを披露した。韓服姿を憶えているARMYも多いだろうし、実際に勤政殿を観光したARMYもいるだろう。

ふるさとの魂でもある

〈僕たち7人全員が韓国人で、韓国の象徴を入れたらと考えていたなかで、それが『アリラン』というキーワードでした〉

 最新アルバム『ARIRANG』が韓国の詩であり、民族歌謡「アリラン」から採られていることからもわかる通り、景福宮を擁するいわゆる光化門一帯はBTSにとって原点、ふるさとの魂でもある。

 ちなみに本稿では光化門一帯とされる地域全体を指して景福宮とする。観光ガイドや駅名でも景福宮とあるのでそれらに準じる。日本で言えば金閣寺を北山、北山鹿苑禅寺、鹿苑寺庭園などをひっくるめて金閣寺とするのと同様だろう。

 金閣寺が焼失したのと同様に、かつて景福宮もまた焼失した。何度も、何度も。

 何度も何度も消失して、再び立ち上がる。これが民族の矜持ということだろう。その象徴のひとつが景福宮である。

人だからこその心

 1592年と1597年の豊臣秀吉による朝鮮出兵では漢城(いまのソウル)が攻撃を受け、景福宮も焼失した。朝鮮国王宣祖は漢城を脱出して平壌へ。小西行長と加藤清正の軍が入城して落城となった。韓国側からは倭乱と呼ばれるこの侵略以降、景福宮は再建されることなく放置された。

 1867年に再建された景福宮も悲劇に見舞われた。1895年の乙未事変では朝鮮国王妃の明成皇后が日本人の暴徒に襲撃され殺害された。朝鮮国王高宗は脱出するも、明成皇后は石油をかけられて焼かれ、池に捨てられた。

 景福宮の奥、乾正殿に「明成皇后受難之地」という石碑とニ枚の絵が掲げられている。過去とはいえ内容が内容なので日本人には案内しない場所と聞くが、のちの抗日運動のきっかけでもあった。

 1910年の日韓併合までに景福宮の大漢門前で条約破棄(第二次日韓協約)のデモが起きたが鎮圧された。

 景福宮という韓民族の象徴ともいえる建物そのものを懸念した日本政府は、それまでの史跡を壊し総督府を景福宮内に移転した。日本人の中にも柳宗悦など破壊反対を訴える芸術家がいて、彼らのおかげで光化門は移設されることで残った。

 それでものちの朝鮮戦争によって光化門もまた焼失、1968年に朴正煕大統領によって再建された。

 そして1993年の金泳三大統領の命によって景福宮の復元が開始され、今日に至るわけだが、何度でも何度でも景福宮は立ち上がってきた。韓国人そのもの、いや人のエネルギーというものはそういうものだ。不屈、人だからこその心だ。

 本能だけではない、理性としての不屈だ。あきめない、ARMYもまたしかり。

 光化門広場では常に誰かしらが声をあげている。時代を経て、不屈の象徴であると同時に民主主義の場ともなった。ろうそくデモは記憶に新しいだろう。

 ずっと他国に蹂躙されてきた韓国にとって声をあげることは、自分を守ることのみならず勝ち取ることでもある。

 RMはスペインの有力紙「エル・パイス」(2023年)でこう語っている。

〈西洋には理解し難いでしょうね。韓国は侵略されて、破壊されて、二つに引き裂かれた国です。70年前は何もありませんでした。IMFと国連から援助を受けていた。でもいまや世界中が韓国に注目しています。どうしてって? どうしてそうなったのかって? それは(韓国の)みんなが、自分たちをより良くしようとものすごく一生懸命になっているからです。フランスとかイギリスとか何世紀も他国を植民地支配してきた国の人が「なんてこと、あなたたちは自分たちにプレッシャーをかけすぎている。韓国で生活するのはストレスまみれ!」と言う人がいる。その通りだと思いますよ。そうして物事を進めるのです。そして、それがK-POPの魅力であることも。影の部分はありますが、速く、激しい事象とは副作用のあるものです〉

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この記事の著者
日野百草

1972年生まれ。日本ペンクラブ広報委員会委員。出版社勤務を経て国内外における社会問題、政治倫理を中心に執筆。大学院で芸術学を専攻、修士(芸術)、芸術修士(MFA)。文芸論、人物評伝および比較史におけるポップカルチャー、またフィギュアスケートなど舞踏芸術に関する論考も手掛ける。2018年、評論「『砲車』は戦争を賛美したか 長谷川素逝と戦争俳句」で日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞を受賞。著書『評伝 赤城さかえ 楸邨・波郷・兜太に愛された魂の俳人』他。

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