なぜ中学受験に成功した子でも、大半は大学受験で失敗するのか…中高一貫校の「東大合格者数」の罠に騙されるな

「中学受験で成功しても、大学受験に失敗する子には、明確な共通点があります」。そう語るのは、東京都内で塾を経営し、Xで中学受験情報を発信して人気を博す教育インフルエンサー・中学受験を考える塾長氏だ。
では、どんな共通点なのか。中学受験・大学受験ともに子供を成功させるにはどうしたら良いのか。同氏が語るーー。
みんかぶプレミアム特集「中学受験・大学受験の新トレンド」第2回。
目次
中学受験の「失敗」は本当に失敗か?鶏口牛後がもたらす圧倒的アドバンテージ
よく「中学受験失敗からの大学受験逆転劇」について聞かれますが、本当に力負けして失敗した場合からの成功例というのは、実はあまり見当たりません。普通のコンディションで併願戦略を練ってダメだった場合、それは能力の差そのものを表していることが少なくないため、そこからの逆転劇は考えづらいのです。
しかし、そもそも「中学受験の失敗」とは何を指すのでしょうか。たとえば、第一志望の開成に落ちて二次試験で海城に受かる、桜蔭に落ちて豊島岡女子学園や浦和明の星に行く、早稲田に落ちて本郷に行く。これは決して失敗とは言えません。中学受験は、同じレベルの問題でもう一度試験をすれば、合格者の半数が入れ替わると言われる世界です。合格可能性80%でも5人に1人は落ちるのですから、能力が高くても第二、第三志望に行くことは普通に起こり得ます。これを「失敗」と呼ぶのであれば、そこからの逆転劇は全然あり得るのです。
むしろ、この進学先がプラスに働くケースも多々あります。いわゆる「鶏口牛後」です。大学附属以外の私立中高一貫校は、大体上位層に合わせて授業が進んでいきます。そのため、第一志望にギリギリで滑り込んだ子よりも、余裕を持って入った子に合わせた授業レベルになりやすく、かえってそれが良かったりするのです。開成落ちで城北に進学したとしても、城北のトップ層(上位15%くらい)にいれば、早慶上理は十分に射程圏内に入ります。
中高一貫校の「東大合格者数」の罠
そして、学校選びで絶対に気をつけてほしいのが「東大合格者数に惑わされない」ということです。入り口のサピックス偏差値が50付近なのに、東大合格者が10~20人くらい出ている学校があります。一見魅力的に思えますが、これは最上位層に合わせてカリキュラムを組んでいることが多いです。実態としては、下位3割は理数系の進度の速さに完全に置いてけぼりになることもあります。
学校の真の実力を見るなら、「合格実績」ではなくサンデー毎日などの記事を参考に「進学実績」を見てください。合格実績は学校の方針でいくらでも操作できますし、実績稼ぎのために早慶をたくさん受けさせる学校も少なくありません。一部の優秀な生徒が稼いだ私立の合格者数には騙されてはいけません(受ける数が限られる国公立の数字は信用できます)。早慶や国公立医学部に「実際にどれくらいの割合が進学しているか」を見極める泥臭い分析こそが重要なのです。
開成よりも渋幕、桜蔭よりも豊島を選ぶ家庭も増えてきた
最近は、親の固定観念に縛られない選択も増えました。桜蔭に受かっても、探究学習や校風に惹かれて豊島岡を選ぶ子もいます(2015年組のサピックスアルファ層でも、桜蔭に受かった3人のうち2人が豊島岡に進学した例がありました。もちろん全体としてはダブル合格なら桜蔭に行く人の方が圧倒的に多いですが)。男子なら、自習環境が整っていて「予備校いらず」と言われる聖光学院(首都圏私立のナンバーワン群です)に、駒場東邦などと併願して進学する子も多いです。千葉方面なら、アクセスの問題も考慮して開成より渋幕を選ぶ層もいます。渋幕・桜蔭といった併願戦略を取った場合、居住地が市川なら桜蔭に行くけれど、船橋駅起点だと迷う、といった具合に受験日やアクセスでばらけるのです(千葉県在住の場合はそもそも渋幕を受かった時点で2月校は受けないパターンが多いですが)。
また、伸びしろという意味では「6年生から1年間だけ急激に頑張って、サピックス偏差値50くらいの中高一貫校に入った子」は、3年生から塾に通っていた子よりもポテンシャルが高いです。上位2割にいれば早慶に行ける可能性が高いですから、こうした遅咲きの子の逆転劇もよく見られます(実際に女子学院・桜蔭・渋幕に落ちて2番手校に進学し、そこから東大に受かった子もいます)。