フード配達員の犯罪行為には目をつぶる日本…いつまでこのカオスを続けさせるつもりなのか
前編 「迷惑。どっか行ってほしい」ヤバイ配達員にピンハネ業…無法地帯フードデリバリーの深すぎる闇
れっきとした犯罪行為「白ナン」が横行する現実
労働環境や賃金を含めた待遇、マッチングサービスや法人請負による「中抜き」(ピンハネの意)問題が山積するフードデリバリーサービス。
約8000億円(2021年)ともいわれるコロナ禍のフードデリバリー市場を、「Uber Eats(ウーバーイーツ)」「出前館」「menu(メニュー)」「Wolt(ウォルト)」などがしのぎを削り、その競争の激しさが、さらにフードデリバリーの安全や社会信用を失墜させている。
「いや勘弁してよ、あんたに関係ないでしょ」
都心の繁華街、筆者が軽ワゴンの男性に声をかけると険しい返事が返ってきた。彼の車のナンバーは黄色ナンバー、いわゆる「白ナンバー」(白ナン行為)、自家用である。
ここで言う白ナンバー、略して白ナンとは無許可営業を指す隠語である。貨物運送業を行う場合は普通車以上が緑ナンバー(青ナンバーとも)、軽自動車の場合は黒ナンバーを取得しなければならないが、それを取得せずに貨物運送業を行う車両は、一般車両と同様の白ナンバー、もしくは軽自動車なら黄色ナンバーおよび白ナンバー(特別仕様ナンバープレート)だ。
こうした白ナン行為に手を染めている配達員が実際に少なからずいる。つまり、彼らの行為は貨物自動車運送事業法違反だ。「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金」(第七十条)が科せられる。しかしフードデリバリーにはこうした白ナン行為が横行している。SNSなどではまっとうな配達員が、それらを目撃しては晒して注意を呼びかけている。
都心のタワーマンション前、軽のミニバンでフードデリバリーをしている若者に声をかける。彼もまた黄色ナンバー、白ナンだ。
「知らなかったよ、だからなに?」
知らないはずがない。しかし若者は挑戦的な表情で凄んでくる。が、人目を気にしたのか、そのままタワマンのホールに消えていった。