極端なレベルの低さ…ヘイト規制で行き場を失ったネトウヨが今、イキイキと輝ける場所
書くに堪えない差別書き込みは減少している
近年のネット右翼の動向を俯瞰する際、特筆するべきなのは、とりわけSNS上(ツイッター、フェイスブック等)でのヘイト書き込みを当局が積極的にBAN(削除、当該アカウントの停止)する傾向が「かなり」強くなったことである。この背景には、ここ数年、SNS上での書き込み等に起因する誹謗中傷や侮辱により、不幸なことに人命が失われたり、民事事件による被告(加害者)に高額の賠償判決が相次いだことが原因である。
刑事としての侮辱罪の法定刑が引き上げられた事についても当然この延長にある。最早、とりわけSNS上で溢れるヘイト書き込みは許されないし、個別事例を勘案しても、高額の賠償判決を以て臨むという風潮が司法の世界でも共通認識となりつつあり、これに対してプラットフォーム側が当該書き込みを放置し続けるという事自体が問題視されたので、ここ数年、とりわけ2020年以降は厳しくヘイト書き込みは即BANされるのが当たり前となっている。
おおむね2019年以前、書くに堪えない民族差別的書き込みは微妙なラインで放置されてきたが、現在は機械的なワード検知等のシステムによって機動的な対処がなされる。ここ2年程度で、私が「定点観測」としてウォッチしてきた有名なネット右翼アカウントの少なくない部分は、これが原因で現在アカウントそのものが停止されている。プラットフォーム側のヘイトに対する自浄は、遅い部分もあるが着実に進展している。
そんなネトウヨが「再植民」した場所
このような現状を踏まえると、ヘイト書き込み自体は、明らかにその総量が減少しているので、ネット右翼の活動量も減少していると錯覚するかもしれないが、すでに述べた通りそれは「可視化されなくなっただけ」であり、依然としてネット右翼の岩盤層の総数、つまり200-250-300万人(筆者推計,有権者人口に対し2-3%)は破壊されることなく存在している。それが証拠に、「宇治ウトロ放火事件」(2021年8月)の被告述懐のように、SNSではなくヤフーニュースのコメント欄等にその活動場所が遷移している状態が問題視されている。