10年前に二世帯住宅を買った幸せ家族を、地獄に落とした相続税の闇
高学歴・高収入、ハイスペ家族にまさか…
絵に描いたような幸せを享受する家庭でも、突如として「地獄」に落ちることがある。その恐怖が高学歴・高収入の「ハイスペック」家庭を急襲したのは、2021年。お金に不自由することなく、まもなく住宅ローンも完済する。そんな円満な生活を描く共働き世帯が襲われたのは、相続の時でした。都市部の幸福な家庭が陥りかねない悲劇とは―。
東京・23区内の高級住宅街に住むAさんは、有名私立大を卒業後、広告代理店に入った40代の男性。多忙な仕事に若干のストレスは感じるものの、帰宅後に子供と風呂に入れば癒やされるという近所でも有名なマイホームパパです。
大学時代に知り合った妻は、商社で働くキャリアウーマン。ブランド品で着飾ったり、足繁くエステに通ったりすることもなく、質素な生活を好みます。3人の息子を出産し、育休取得中は保育園への送迎時も幸せを感じるような子煩悩な妻。働き盛りの40代に入った頃、長男は中学生、次男と三男は小学生へと成長しました。育児の手もかからなくなってきた矢先、その悲劇は訪れたのです。
「えっ?もう1回言ってもらえませんか」。Aさんの電話の相手は実姉Bさんの夫。地方銀行に勤める50代の銀行員です。「このままならば、1000万円以上は払う必要がありそうですね」。唐突に告げられた相続税額にAさんは頭が真っ白になり、スマホを片手に黙り込んでしまいました。Aさんは末期ガンの実父と一緒に住んでいました。