銘柄情報を漁りすぎると、あなたの選択が劣化するワケ…映画を倍速で観る人たちの心理(茂木健一郎)
脳は「タイムマシン」。過去にも未来にも行ける
未来を予測することは、非常にむずかしい。昔の人が、「来年のことを言うと鬼が笑う」と言ったのは、全く正しい。
しかし、一方で、これから世界がどうなるかを知ることはとても大切なことである。とりわけ、経済や政治の分野においては、未来をある程度見通さないと何の計画も立てられない。
人間の脳は、未来を予想するために進化してきたと言ってもよい。未来がどうなるか、ある程度見通しを立てることで、よりよく生きることができる。生存競争に勝てる。
未来を予測する回路は、記憶の回路の近くにあることがわかっている。人工知能と同様、たくさんのデータのアーカイブを解析して、これから起こることをシミュレーションするのである。脳は一つの「タイムマシン」で、過去にも未来にも行ける。そして、未来への旅行は、過去の経験に基づいて外挿される。だからこそ、「温故知新」と言う言葉があるのだ。
未来を予想することは、「選択」のために必要である。多くの可能性の中から、何を選ぶか。そのことによって自分の未来は変わっていく。良質な選択をするためには、良質な未来予測をしなければならない。