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「都会化できぬ」大阪に限界説…成長戦略は「観光事業」のみ!「ものづくり」が消え、止まらぬ地盤沈下

 10年前の維新旋風以来、大阪の政治は変わったと言われる。再び、大阪を起点として日本を活力のある社会に。そんな幻想を抱いた府民も少なくない。では現実に、大阪はどのように変わったのか。「みんかぶプレミアム:特集『大阪沈没~名古屋に完敗、福岡に抜かれる』」第1回は、大阪政治の事情に精通したジャーナリストが、大阪の政治、経済の現状と課題を伝える。

目次

財政危機は脱したが、新型コロナ対応に失敗した維新政権

 大阪を中心とする関西経済圏の地盤沈下が止まらない。

 大阪維新の会によって大阪経済が復活したかのような幻想に囚われている人も多いが、経済の実態としては、非常にしんどい状況が今も続いている。維新政権は、大阪における行政の財政危機を立て直し、また行政の在り方(民間の活用)を根本から改革したことは、大きな成果として認められるものの、そこには限界が存在している。今回は、大阪・関西経済の実態に迫っていく。

 維新政権の行政手腕について、筆者は総じて高く評価しているものの、やはり、新型コロナ対応については疑問符がつく。同じ都市圏の東京と比較して死亡率が高いことだ。実態として、大阪市保健所の業務が逼迫(ひっぱく)し、国の感染者情報共有システム「HER-SYS(ハーシス)」の入力が遅れていた。常勤保健師の数は、2010年度末と比較して、10%減っていることからも公衆衛生を軽視したツケが回ってきたと言えよう。新型コロナがここまで蔓延するとは、考えもしなかったのだろうが、削ってはいけないところを削ってしまったということだ。医療関係者を中心に、大阪は医療崩壊を起こしていたという評価が定まりつつある。

 では、経済の実態を見ていこう。ここからは、2022年3月に近畿経済産業局総務企画部企画調査課が発表した「近畿経済の概要 ー経済指標でみた近畿ー」をもとに、詳しく論じていく。

 関西2府4県(大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良、和歌山)の名目域内総生産(GRP)合計額を関西経済圏の経済規模とした場合、日本のGDP(名目国内総生産)と比較すると、関西経済圏の全国シェアは現在15.8%だ。

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この記事の著者
小倉健一

1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長就任(2020年1月)。2021年7月に独立。現在に至る。 Twitter :@ogurapunk、CONTACT : https://k-ogura.jp/contact

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