投資家は絶対注目!上がるしかない「新エネルギー」…4つの凄まじい商機を見逃すな(特集:電力ひっ迫「最先端技術編」)

かつて、太陽光発電は日本の独壇場だったのにもかかわらず、今や中国や韓国に大きく水をあけられてしまった。そんな日本は原発を回すか回さないかの議論ばかりで、ことの本質である「再生可能エネルギー」についてはずっと目をそらしてきた。みんかぶプレミアム特集「電力ひっ迫」(全9回)の最終回では、さわかみHDの澤上篤人代表取締役が、そんな日本でも地理的条件を生かした「凄まじい商機」が眠る4つ発電形態がある、と語る。世界中の投資家が注目する「新エネルギー」分野で、澤上代表は何に目を付けたのか――。
目次
地政学的リスクで急騰するエネルギー価格。急がれる100%脱炭素化の再生可能エネルギー
ロシアのウクライナ侵攻によって、EU(欧州連合)諸国が利用してきたロシアからの天然ガス供給が大幅に削減し、わが国でも三井物産、三菱商事が参画している「サハリン2」によるLNG(液化天然ガス)輸入の先行きが不透明となるなど、世界中のエネルギー事情が大揺れの事態となった。
確かに今回のウクライナ侵攻がエネルギー価格の高騰に拍車をかけたのは事実だが、兆候はそれ以前からあった。大きな理由の一つは地球温暖化を食い止めるため、先進国を中心に脱炭素化へのシフト、すなわち石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料からの脱却を進めていたことだ。
地球温暖化防止を求める世論は世界の機関投資家をも動かし、彼らはエネルギー関連企業に株主圧力をかけるようになった。その結果、原油・天然ガスの新規採掘を取りやめ、事業そのものから撤退するエネルギー企業も出てきた。近著の『インフレ不可避の世界』(明日香出版社)でも、こうした状況下では、ひとたび戦争などの地政学的リスクが生じると、化石燃料への投資不足によりエネルギー価格が急騰し、世界の人々の経済活動や社会生活に大きな支障をもたらすのではないかと分析したが、残念ながら現実のものとなりつつある。
脱炭素社会を目指すべきなのは言うまでもない。しかし風力発電や太陽光発電など再生エネルギーへのシフトが進んでいるといわれるEU諸国ですら、100%脱炭素化はまだ先の話だ。脱原発を推進中のドイツでも、隣国のフランスの原発から電力供給を受け、今も国内では石炭火力発電所が稼働しているし、ノルドストリーム1、2(海底天然ガスパイプライン)によってロシアから供給される天然ガスへの依存度も、依然高いままだ。
地球温暖化阻止は近未来へ向けての課題だ。中長期の計画を立てて着実に実行していくべきだが、一方、現時点での人々の暮らしに不可欠なエネルギーの確保は最重要課題で、今回のような不足の事態に陥った時の対応も含めて、世界中でエネルギーの供給体制をどうするか、再検討する必要があるだろう。