日本は敵国…ミサイル撃たれ放題「沖縄は火の海」訪台ペロシ議長の人権外交で悪夢の米中衝突・台湾有事

人気取りか単なるわがままか。中国のメンツを潰しただけの台湾訪問
ナンシー・ペロシ米下院議長が、8月2日に行った「台湾訪問」が、中国の大きな反発を招き、東アジア地域の緊張を高めている。これまで、アメリカは台湾への支援を実施してきたが、米国の高官が台湾を訪れることはまれであり、最後に台湾を訪問した高官は1997年のニュート・ギングリッチ下院議長(共和党)であった。ペロシ下院議長が「米国で序列ナンバー3の政治家」であることが、中国国営メディアで繰り返し強調されていて、メンツを重んじる中国の反発の理由がよくわかる。
そしてまた、過去の下院議長の訪台もそうだが、今回の下院議長の訪台も、「台湾」をめぐる情勢が、全ての当事者にとっての事態の改善に結びつく見通しは立っておらず、今回の訪台も、ただ東アジア地域の軍事的緊張を高めただけで、結果として、本人の人気取りに終わってしまいそうなのが残念だ。
ペロシ下院議長が、中国を怒らせたのは、今回が初めてではない。中国民衆が大規模なデモを行い、中国政府が暴力で鎮圧した1989年の天安門事件。その2年後に、ペロシ下院議長は、事件のあった天安門広場を訪れて、「中国の民主化のために死んだ人々へ」と中国語と英語で書かれた横断幕を掲げた。以来、天安門事件を教訓として、チベット人、ウイグル人、香港の民主化運動家への支援を主張してきた。今年2月の北京冬季オリンピックを前にして、「商業的利益を理由に中国での人権侵害に声を上げなければ、どこの国の人権侵害にも声を上げる道徳的権威を失う」として、米国に中国のこれまでの人権状況を糾弾するよう促している。