鳩山由紀夫「ウクライナ侵攻はアメリカが仕掛けた。武器提供をすぐに停止せよ」…3回連載「日本の贖罪」#1

鳩山由紀夫
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 鳩山由紀夫元首相は、ロシアがウクライナへ侵攻した後、ツイッターで「ウクライナに軍事的な装備品を提供するよりも、プーチンにウクライナから手を引けと訴え、返す刀でゼレンスキーにNATO加盟を諦めさせる平和外交を行うべきです」(3月18日)、「日米首脳会談で岸田首相に言ってもらいたかったのは、戦争をアメリカの力で停戦させてほしいということだったが、言わなかった。米国がウクライナに武器を提供しなければ停戦になるのに、バイデンはウクライナ人が1人になろうとも戦うと言ってる。ウクライナのためではないのだ。軍産複合体のためだ」(5月25日)と述べるなど、現在の日本政府とは大きく異なった外交政策を主張している。その根拠となるものは何か。3回連載、鳩山由紀夫氏が語る外交・安保論第1回は、アメリカの罪について――。

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ウクライナの戦争は、軍産複合体のためにアメリカが仕掛けたものだ

――鳩山元首相は、ネット空間で大きな反発にさらされながらも、そのことは意に介せず、積極的にオピニオンを発信しています。日本を含むG7のウクライナ問題についての姿勢は、軍事侵攻を続けるロシアを厳しく非難するとともに、ウクライナへの支援に結束して取り組む姿勢を打ち出す、というものです。鳩山元首相は、どういう認識なのでしょうか。

 ウクライナとロシアの戦争は絶対に避けられたはずです。今回のケースで言えば、アメリカがロシアにガチンコ(ケンカ)を仕掛けたときに、ウクライナがそれに乗っかってしまった。そういう意味では、一番可哀想なのはウクライナです。元外務省欧亜局長の東郷和彦さんの言葉を借りれば、ロシアにとってウクライナにNATOが配備されることは、アメリカにとってキューバに核ミサイル基地が置かれるようなもので絶対に認められないことなのです。ロシアはアメリカの挑発に乗ってしまったわけです。

 Twitterにも書きましたけど、日米首脳会談で岸田首相がバイデン大統領へ言ってもらいたかったのは、戦争をアメリカの力で停戦させてほしいということです。だけど言わなかった。米国がウクライナに武器を提供しなければ停戦になるのに、バイデンさんはウクライナ人が1人になろうとも戦うと言っています。つまり、この戦争は、ウクライナのためではなく、軍産複合体のためなんです。

 日本は、ロシアとの外交的関係を一刻も早く回復させなくてはいけません。北方領土問題にしろ、サハリン2の問題にしろ、日本に彼らロシア人が好意を持てるようにもっと導いていければね、ガソリンの値段もここまで上がらなかったかもしれませんよ。

中国もロシアのように、アメリカの挑発に乗るかもしれない

 2022年7月3日、中国日報は、鳩山元首相が北京で開かれたフォーラムで「2011年の東日本大震災では非常に大きな原子力事故のダメージを受け、海水が放射性物質によって汚染された。日本人にとって、これは世界に謝罪すべき問題だ」と発言したことを報じている(Record China・7月4日)。また、鳩山元首相は「過去1世紀を振り返ると、日本による不幸な侵略があった。そういったものをはじめ、中国は極めて大きな困難に直面したが、その度に、中国の共産党が人民とともに困難を克服してきた。そのことに対して最大限の敬意を表する」(人民網・8月19日)と発言し、産経新聞を中心とする保守系メディアが強い反発をしている。

――中国へ行くたびに、保守系メディアを中心に大きな反発を受けています。それでも行くのはなぜですか。

 私は、周辺諸国と仲良くすることが日本の生きる道だと、唯一の生きる道だとそう考えています。周辺諸国と仲が悪くなってしまった挙句に、紛争が起きたとして、本当に日本は勝てますかという話です。

 「敵基地攻撃」問題でも、有権者を前にして勇ましいことを言えば、選挙の票は増えるかもしれないけれども、日本が敵基地を攻撃したら、当然、反撃がきますよね。

 反撃がきたときに、日本の原発施設を狙われたら、日本に人が住めなくなってしまいます。原発は戦争になれば狙われやすい施設だということが、ウクライナでの戦争を見ても明らかです。

 むしろ、私が聞きたいのは、それがわかっていて、なぜ周辺諸国と喧嘩をするのか。もっと仲良くすればいい。彼らだって日本と仲良くしたいのです。ほとんどの中国人が日本に憧れ、日本とビジネスをしたいと思っています。

 習近平主席が今、台湾を武力で乗っ取ろうなんて、思っているわけがないでしょう。しかし、私が心配しているのは、「中国がアメリカの挑発に乗るかもしれない」ということです。ウクライナの問題で言えば、ロシアはアメリカの挑発に乗ってしまったわけです。で、あんな風になってしまった。

私は”媚中”ではない!!

――ウクライナ戦争は、アメリカによってロシアが引きずり込まれたということなのですか?

 そうです。同じことが近い将来、中国にも起きるでしょう。中国はロシアよりも胆力があるのでそんな事態にならないと願っていますけど、心配なことは多いです。最近の話題で言えば、アメリカのペロシ下院議長が台湾に行くとかですね。

 いろんなことで中国にちょっかいを出して、これでもかこれでもかとやると、相手も頭にきてしまいます。現状の中国は猛抗議をすると思いますけど、エスカレートしていったときにどうなるかがわかりません。

 バイデン大統領も、習近平主席に、中国との新冷戦を求めず、台湾独立を支持せず、中国と衝突する意思がないと表明しました。習近平氏はその発言を重視すると応え、中米が相互尊重し対決を回避して平和共存することに同意したのです。こういった話し合いが大事で、今こそ大国の米中が協力してウクライナ情勢を解決に導く責任があると思います。

 中国へ私が行くことで、「鳩山は媚中だ」と言う人がいます。私は、媚を売っているわけではなくて、実際は中国に注文をつけていますよ。

 「歴史をきちんと学んで、お互いに仲良くやろうよ」と日本がやれば、周辺諸国から「日本はいい国だな」「尊敬できる」という風になるのです。そうなれば、ミサイルは飛ばしてこないですよ。

 そういう環境を作ることが政治の役割だと思っています。今の日本の政治家の発想は、残念ながら逆になってしまっていますね。より緊張を高めてしまっている。

次回に続く

鳩山由紀夫

元内閣総理大臣。本名は友紀夫

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