5年以内に習近平体制崩壊! 「中進国の罠」にはまった共産党、経済成長が止まった瞬間に「チャイナは消える」

みんかぶプレミアム特集「丸わかり中国経済」のフィナーレは、さわかみファンド創設者の澤上篤人さんに登場いただき、中国の近未来について “一筆両断” に語ってもらう。長期投資家として、世界の動向の二歩先、三歩先を読み続けてきた眼には、中国経済の現状と今後はどのような姿に映っているのか。
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天安門事件で、経済の自由化は幻想と気づくべきだった
1972年のアメリカ・ニクソン大統領の電撃訪中、翌年の日本・田中角栄首相の訪中で、米中関係、日中関係は一気に改善した。70年代後半には「経済の自由化」を謳い、その流れは最高実力者・鄧小平の「改革・開放」路線によって一気に加速した。
束の間だが、中国と西側諸国との融和と協調の時代があった。海外企業を誘致し、1990年代に「世界の工場」に。2000年代には、世界から投資を呼び込み、世界最大の人口を抱える巨大消費マーケットとしても注目され、「世界の市場」となって中国ブームが起きた。
世界最大の労働ならびに消費人口を支えに経済成長を続け、2011年には日本を抜き、GDP世界第2位に。この間、繊維から半導体などのハイテク産業まであらゆる工場が建てられ、世界中から高度な科学技術や工業基盤のノウハウが流入した。この中国のダイナミックな成長神話の陰では、国家管理下で他国技術の流用や盗用も多々あったと言われている。
日本はじめ先進国の企業も、中国ブームに乗って積極的に中国に進出したが、今思えば、技術の秘密保持を徹底したり、それができなければ、どこかで資本投入にブレーキを掛けるなりしておくべきだった。民間企業同士の競争・競合なら市場原理に委ねられるが、国家が後ろ盾となる国家資本主義では、どこかで強権的な措置が働き、進出した民間企業が割を食うからだ。
ターニングポイントはやはり、1989年、学生の民主化運動を潰した天安門事件だろう。あそこで世界は中国という国を見極めるべきだった。弾圧を指揮したのが「改革・開放」路線を推進した鄧小平だったのは歴史の皮肉か。期待された政治体制の民主化は遅々として進まず、中国企業の民営化も完全ではないなら、西側諸国は中国を世界の工場や供給基地としてではなく、せいぜい下請け程度に留めておくべきだったのだ。
地方の「隠れ債務」を把握しきれない中国、ハードランディングも近いか
現代に話を戻そう。IIF(国際金融協会)によれば、世界の債務残高は、昨年末で世界のGDPの3.5倍に達したという。金額にして302兆ドル強。日本円にすると4京円超。途方もない数字だ。もちろん債務は中国においても膨れ上がっているはず。問題なのは、中国の場合、正確な数字がわからないことだ。いろいろな数値が公表されているが、信憑性が疑わしいのだ。