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「でっちあげ営業」「仕組みを複雑化」…苦情殺到の高リスク金融商品を“無知な投資家”に買わせまくってきた恐怖の手口

 債券にデリバティブ(金融派生商品)を組み込んだ「仕組み債」への個人投資家からの苦情が増えている。現在、金融庁が販売実態を調査するとともに、日本証券業協会も販売の中止を検討しているという。どういうことなのか。金融・証券市場を長年取材してきた小平龍四郎氏が、この問題の背景と、それを生んだ日本の金融業界の悪弊をあぶり出す。

問題が起きるたびに「顧客重視経営への転換」を表明してきた証券業界

 まずは、次の日本経済新聞記事の要約や一節をお読みいただき、それがいつのものか、お考えいただきたい。いずれも証券会社の営業方針に関する内容だ。

  1. 「お客様第一主義」の実践に向けトップダウン型の組織を変え、支店がノルマなどにきゅうきゅうとせずに自主経営を展開できるような体制を整えた。
  2. 証券トップ、顧客重視へ我慢の経営。市場低迷下で体質転換急ぐ。
  3. 「資産売買業から資産管理業への営業体質の転換」

 いずれもほぼ同趣旨だが、書かれた時期はかなりばらつきがある。 1. は1992年1月4日朝刊、2. は1997年2月6日夕刊、3. は2014年5月3日朝刊の記事だ。バブル崩壊後の証券会社の営業理念や方針がほとんど同じであることは一目瞭然。経営者が顧客重視や資産管理業への転換を言い続けている理由は、端的に言うと、実態が伴っていないからだ。顧客より会社の利益を優先し資産売買業から抜け出し切れていないのだ。

 もちろん、そうでない会社もあることは知っているが、証券業界全体としては昔ながらのブローカー体質が根強く残っている。あえて厳しい言い方をするのは、「まだこんなことをしているのか」とがっかりさせる事例が後を絶たないからだ。

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この記事の著者
小平龍四郎

1964年生まれ。静岡県出身。早稲田大学第一文学部卒業。日本経済新聞入社後は主に金融・証券畑を歩き、「山一証券破綻」「村上ファンド登場」などの特報にかかわる。欧州総局(ロンドン)やアジア総局(バンコク)を経験し、現在は日経新聞の編集委員。専門は証券市場、ESG/SDGs、企業統治。著書は「グローバルコーポレートガバナンス」「アジア資本主義」「ESGはやわかり」。 Twitter:@Kodaira_Nikkei

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