【本紙独占】岸田首相が虎視眈々と狙う「株高終了」の一手とそのタイミング…元金融担当相が懇願「もう独自路線は出さないで」

日経平均株価は6月に1990年3月以来約33年ぶりの水準となり、バブル崩壊後最高値を更新するなど好調だ。今春に就任した日本銀行の植田和男総裁は大規模金融緩和政策の維持を決め、市場には安心感も広がる。では、この株高はいつまで続き、注意すべきは何なのか。プレミアム特集「日経平均4万円説!いつまで続くこの株高」第4回は、『何歳からでも間に合う初めての投資術』の著者で経済アナリストの佐藤健太氏が、元金融担当相の渡辺喜美氏に政府・日銀の動きや市場見通しについてインタビューした――。
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アベノミクスとの違いを見せたかった岸田の誤算
――日銀の植田総裁は6月16日、足元の株高について記者会見で「日本が比較的堅調な成長を続け、企業収益も高水準で推移すると予想されていることが大きな原因ではないか」と説明しています。渡辺元金融担当相は現状をどう見ていますか。
渡辺喜美(以下渡辺) 今春以降の株高は、円安と表裏一体だ。FRB(米連邦準備制度理事会)やECB(欧州中央銀行)がインフレ退治のため高金利政策を続ける一方、植田日銀は事前の予想とは異なり、黒田東彦総裁時代からの金融緩和路線を堅持していることが大きい。岸田文雄首相が「3本の矢」(財政・金融・成長戦略)を打ち出した安倍晋三政権との違いを出すことに腐心しても、アベノミクスは「ノーランディング」状態にある。
東京市場の取引は外国人が7割以上であり、ドルベースで見ている。ドルベースの平均株価は菅義偉政権時代に史上最高値の288ドルをつけている。今は急騰しているものの、240ドル台だ。株高で困っているのは、出遅れた個人投資家ぐらいでGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の年金運用は成績が良くなり、日銀保有のETF(上場投資信託)も含みが増える。株を持っている人や儲けた人は資産効果で消費が増える。政府にとっては税収が増えるので言うことなしだろう。
国民負担率5割の日本、経済成長できるのか
――6月に入り岸田首相が衆院解散に踏み切るとの見方が広がりました。首相は6月15日に今国会中の解散を見送るという異例の表明をしたわけですが、政府・日銀の動きはどう映りますか。