商社一般職女性「冬のボーナス200万円」の衝撃…物価高騰、実質賃金減の日本で給料を上げている会社、地獄に落ちる会社

2022年度の中間決算発表が一巡した。全産業の経常利益が過去最高となる一方で、インフレにあえぐ企業も少なくない。経営コンサルタントの小宮一慶さんは、「海外で稼げる企業とそうでない企業で勝ち負けがわかれた」と話す。そんな中で買うべき株の指標や、次々に従業員の大量解雇を発表しているアメリカのIT企業の見通しについて、小宮さんにうかがった。
輸入物価が前年比40%強増…消費者価格に転嫁できない企業の苦しさ
日本の消費者物価指数を見ると、9月は3.0%、10月は3.6%上昇しています。ただ、問題なのは消費者物価指数の上昇ではなく、それ以上に企業物価指数が上がっているため、多くの企業が賃上げしたくてもできない状況にある点です。
企業物価指数は9月で10.2%、10月では9.1%上昇しています。つまり、企業の仕入れにかかるコストが消費者物価指数の上昇率をはるかに上回っているのです。とくに海外からの輸入品の調達コストは格段に上がっています。輸入物価指数は9月で48.5%、10月で42.6%増とさらに急激な上昇を見せているからです。簡単に言うと、企業は、仕入れの値上がり分のすべてを最終消費財に転嫁できていない上に、値上がり分は資金が海外に流出し続けている、ということです。
ちなみに、これらの指数は前年同月比で表されるので、輸入物価のように急激に上がっているときには、さらにその前年の数字を確認する必要があります。前年の数値が低ければ、その翌年は元に戻っただけで数値が跳ね上がりますからね。
そこで輸入物価の2021年9月の数値を見てみると、30.2%増になっています。その前年は新型コロナウイルスの影響で10%以上下がっていますが、翌年にはコロナ禍を上回る水準になっていたことがわかります。つまり、このところの急激な輸入物価の上昇は「コロナ禍から回復しただけ」とも言えず、ウクライナ情勢や円安などの要因によるものです。
日本国内ではいま、企業は最終消費財の価格に仕入れの値上がり分を十分には転嫁できていない上に、わずかに上がった消費者物価分に加えて企業が負担している値上がり分もすべて海外に流出している、というのが現状なのです。