90万高齢世帯が生活保護…”貧乏老後の国”日本と112万人2600億円が放置される企業型DCの矛盾

企業型DCの年金資産約112万人分、約2600億円が放置された状態になっていることが、国民年金基金連合会のまとめで分かった(2022年11月1日)。企業型DCとは、企業が掛け金を負担し、従業員が運用の責任を負う「企業型確定拠出年金」のことだ。
企業型DCは企業が掛け金を払うことから福利厚生の一種と考えられるが、従業員の運用成績が良ければ、将来受け取れる退職金や年金の額が増える。ただ、60歳までは受け取れないのが原則だ。
そんな大切な資金が約112万人分も放置されているとは一体どういうことなのか?
企業型DCは転職などで会社を辞めると加入資格を喪失するため、継続するためには転職先の企業型DCやiDeCo(個人型確定拠出年金)に移さなければならない。しかし、退職時の忙しさや制度の理解不足ゆえに、従業員が知らないうちに放置されているという。必要な手続きをしないで6カ月経過すると、せっかくの資金は国民年金基金連合会に自動的に移管、塩漬けにされる。
企業型DCの加入者は全国で約780万人、そのうちの112万人分ということは全体の14%にも上る。しかも、2017年度末に自動移管され資産が塩漬けになっていた人は約73万人だったから、人数は1.5倍に増加している。