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食事代や遊園地代を全て経費にする方法…なぜ賢い人は「4年落ちのベンツ」に乗るのか

 確定申告に当たっては、税法を始めとする細かいルールが存在する。面倒に感じる人が多い一方で、元税務職員でマネーライターの小林義崇氏は「経費を正しく申告することは納税者の権利。これを人任せにするのはもったいない」と話す。事業主らが「これは経費になるのか」を賢く判断するためのルールを、Q&A方式でお届けする――。全3回中の3回目。 

※本稿は小林義崇著『あんな経費まで! 領収書のズルい落とし方がわかる本』(宝島社)から抜粋、編集したものです。 

第1回:「筆跡をチェックしろ!」税務署職員がビビっとくる”ちょっと怪しい領収書”の諸条件…むしろレシートのほうがイイ
第2回:仕事用クレカのポイントを私用で使うのはアウト?セーフ?…大切な領収書をなくした時の裏技

Q:車を買ったらすぐに全額経費になる? 

A:╳  

 10万円以上の固定資産を買ったときは、複数年に分けて経費にするのが原則です。このルールを「減価償却」といいます。 

 たとえば新車で普通車を購入した場合、購入額を6年に分けて経費にしなくてはいけません。車をはじめ、固定資産を買うときはこの減価償却のことを考えておく必要があります。支払った金額がすぐに経費にならないので、思ったような節税効果を得られない可能性があるからです。 

 ちなみに、青色申告の場合は「少額減価償却資産の特例」を使えば「30万円未満の固定資産」であればその年度中に累計300万円を限度に購入費を一括で経費にできますが、車のように30万円を超えるモノには使えません。 

 車を買うのであれば、その資産の購入費を「法定耐用年数」という定められた年数に分けて費用配分するというルールである「減価償却」の計算方法を必ず理解しておく必要があります。 

 ただし、ガソリン代や税金、駐車場代など、車に関連する費用は、払った都度経費になります。これらの費用は、それぞれに見合った勘定科目で経費にします。 

【車に関連する費用の勘定科目】 

  • 車の購入費:減価償却費
  • ガソリン代:車両費、燃料費など
  • 保険料:車両費、支払保険料など
  • 税金:租税公課
  • 駐車場代:地代家賃など

Q:車を買うなら、中古のほうが早く経費にできる? 

A:〇 

 中古車を選べば、早く節税効果を得られます。固定資産を購入したら、減価償却が必要と説明しました。普通車を新車で購入すると耐用年数は6年ですので、購入費をすべて経費にするには6年かかります。 

 でも、中古車を買うと、経過年数に応じて耐用年数が短くなります。ということは、新車よりも耐用年数が短くなり、結果的に早く購入費を経費にできるのです。「4年落ちのベンツが節税に使える」といわれる理由は、ここにあります。 

 4年以上の年数が経過した普通車の場合、耐用年数は2年です。そして耐用年数は2年を下回ることはありません。 

 減価償却の方法は、毎年一定金額を経費にできる「定額法」と、最初のうちは経費を多く計上できるが、年々少なくなっていく「定率法」の2パターンがあります。 

 耐用年数2年の場合、定額法における償却率は0.500、定率法における償却率は1.000となります。したがって、たとえ4年落ち300万円のベンツを買った場合、次のとおり経費化できます。 

【定額法の場合】 

  • 1年目 300万円×償却率0.500=150万円
  • 2年目 300万円×償却率0.500≒149万999円

【定率法の場合】 

  • 1年目 300万円×償却率1.000≒299万9999円

 このように4年落ちの中古車を買って定率法で減価償却を行えば、1年で購入費をすべて経費にできます。 

 ただ、このメリットを活かせるのは、すでに十分な利益を得ている場合に限ります。たとえば今期は利益が少なく、来期以降に大きな利益が見込まれるのであれば、むしろ来期以降の費用を増やしたほうがいい。ということは、4年落ちの中古車よりも新車を買って、経費化を先延ばしにしたほうが節税効果は高いです。 

 耐用年数が何年であろうと、どんな償却方法を選ぼうと、経費化できる総額に変わりはありません。早く経費にしたいか、後で経費にしたいか、というポイントを押さえて選択する必要があります。 

 また、中古車の場合、修理費用や自動車税などの負担が重くなる傾向があります。どのような車を買うべきなのかは、個々の状況によって違います。基本的なルールを理解したら、ご自身の状況を踏まえて一番いい方法を考えてみてください。 

Q:事業によって経費にできるモノは変わる? 

A:〇 

 同じモノであっても、事業の中身によって経費になる場合と、ならない場合に分かれます。たとえば服を買うとしましょう。この代金は通常は経費になりません。誰でも仕事中に服は着ていると思いますが、だからといって経費になるわけではないのです。 

 でも、事業によっては特殊な服が必要になる場合がありますよね。たとえば漫才師のステージ衣装や、オフィスで着用する制服、セミナーに登壇するためのスーツといったような場合は、経費になると考えられます。 

 税務調査では経費と事業の関連性を聞かれることが多いです。モノを買って経費として計上するのであれば、きちんと説明できる状態にしておくことが大切です。 

Q:取引先との食事でなくても経費にできる? 

A:〇 

小林義崇著『あんな経費まで! 領収書のズルい落とし方がわかる本』(宝島社)

 食事代を経費にするときは、4パターンの方法を考えてください。 

 まずは「事業関連費」です。事業と直接関連する食事代は、問題なく経費になります。たとえばグルメライターであれば、記事を書くために食事をとることがあるでしょう。 

 このときの食事代は経費です。飲食業の人が他社のリサーチのために食事をしたり、グルメ系YouTuberがグルメレポートのために食事をしたりした場合もその代金が経費になります。 

 このように食事代を事業関連費にするには、事業との関連性が問われます。したがって、飲食とまったく関連しないビジネスをしていたら、この方法は使えません。 

 そこで、他の方法も考えてみましょう。たとえば「会議費」です。ビジネスをしていると、さまざまな場面で会議をします。社内で行うこともあれば、取引先などと行うこともあるでしょう。そうした会議を食事付きで行えば、食事代を経費にできます。 

 次に「接待交際費」となる場合です。取引先などを接待したときの食事代は経費になります。この場合、接待した相手にご馳走(ちそう)した食事代はもちろん、社長や自社の従業員の食事代も含めて経費です。 

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この記事の著者
小林義崇

マネーライター、Y-MARK合同会社代表。1981年、福岡県生まれ。西南学院大学商学部卒業。2004年に東京国税局の国税専門官として採用され、以後、都内の税務署、東京国税局、東京国税不服審判所において、相続税の調査や所得税の確定申告対応、不服審査業務等に従事。2017年7月、フリーライターに転身。書籍や雑誌、ウェブメディアを中心とする精力的な執筆活動に加え、お金に関するセミナーを行っている。

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