山崎元「S&P500だけ買えばいい」ワケがない…”売上高続伸の高成長銘柄”と”伸び悩む低成長銘柄”あなたはドッチを買う
「貯蓄から投資へ」。長年、日本社会の課題ともなっている個人投資家の育成に向け、政府は躍起になっている。そんな中、2022年12月に発表されたNISA拡充案は「決められない」と言われる岸田内閣の施策としては珍しく評判がいい。歯に衣着せぬ明快なオピニオンで投資家の信任が厚い経済評論家の山崎元さんに今後の株式投資のあるべき姿について語ってもらった。
#2「金融機関破綻の可能性」…2023年最大の買い場「金融パニック相場」はいつ訪れるのか
#3 官僚政権”岸田首相”の無謀…「安定志向の公務員が金持ちの増加と弱者の底上げを嫌う理由」
岸田首相の「資産倍増」のひと言から意外なくらいよい制度が仕上がった
──いま、政府は「貯蓄から投資へ」の掛け声のもと、株式市場への個人投資家の参加を推進しようとしています。昨年12月、政府与党は本年度の税制改正大綱でNISA(少額投資非課税制度)の大幅拡充を発表しましたが、内容についてどう感じられましたか。
山崎) これは私にとって、いい意味での驚きでした。当初はここまでの内容になるとは思わなかった。普通の人の資産形成にとっては、ほぼ “満額回答” と言っていいでしょう。金額の拡大とともに、期間の無期限化と上限枠の再利用が可能となったことが、特に評価すべき点です。積立枠と成長投資枠を合わせて1800万円まで非課税の対象となったわけですから、普通の国民にとっては十分な金額です。金融庁も褒めるべきときには褒めないといけないと思いました。
これまで岸田文雄内閣が進めてきた「新しい資本主義」には見るべきものが何もなかった。もともとの問題設定が悪くて、期待できる感じが全くありませんでした。ですが今回の内容を見ると、これから真剣に資産を形成していこうという人たちにとっては非常に使い勝手がいい制度になっていると思います。1800万円の枠も現行枠とは別枠で設定されているので、いまのNISAをそのまま続けながら、プラスして投資することができる。2023年はいまのNISAを駆け込みで追加することができます。
──ではこのNISA拡充をきっかけに、普通の人が資産を形成するためにはどうすればいいでしょうか。日本では個人投資家がなかなか育たないと言われて久しいですが。