看護師「お礼奉公」の実態…奨学金違反で200万円を請求された女性がとった行動
老後2000万円問題より深刻な「教育3000万円問題」
教育は「投資」であると言えば、疑う人は少ない。各国は教育機会の不平等を是正するため教育投資を強化し、人々は自己実現に向けて自らへの投資を重ねる。だが、投資にはお金が必要なことも事実である。少子化が進む国では、子供の進学塾や習い事への投資が過熱し、幼少期の「お受験」も熱を帯びる。日本の場合、幼稚園から大学卒業までにかかる教育費(私立)は約3000万円だ。物価が上昇する一方で、20年以上も平均給与が上がらない日本人に重くのしかかる。富裕層はともかく、恵まれない家庭からのSOSは尽きない。
東大生の親の世帯収入(年間)は950万円以上が多いことはよく知られる。東大学生委員会がまとめた2020年度の報告書によれば、「1150万円以上」という恵まれた家庭に育った学生も20.2%に上っている。日本人の平均給与が約433万円である中、「450万円未満」は9.0%にとどまる。
教育費は、住宅費用や老後の生活費用と並ぶ「3大支出」の1つだ。幼稚園から大学卒業まで「オール国公立」で進んだとしても総額は最低1000万円超、私立で歩めば3000万円近くに達する。日本政策金融公庫が2021年12月に公表した調査によると、高校入学から大学卒業までにかける子供1人当たりの教育費用(入学・在学費用)は942.5万円に上る。世帯年収に占める年間在学費用の割合は平均14.9%で、年収200万円以上400万円未満の世帯では平均26.7%も占める。学習塾や習い事に通えば、さらに多くの「投資」が必要となるのは言うまでもない。
皆さんは「お礼奉公」をご存じだろうか
多額な教育費の捻出のため「節約」したり、預貯金を取り崩したりしている家庭は多いが、4人に1人は奨学金や教育ローンで対応しているのが実情だ。様々な理由からローンで借りることができず、修学が困難な学生には学資を貸与・給付する奨学金制度の活用が重要になる。同公庫の2019年調査では「奨学金を受けている」との回答は17.6%に上る。
ただ、「制度があるなら、とにかく借りよう」と安易に考えることは要注意だ。独立行政法人「日本学生支援機構」の調査(2020年)によれば、奨学金の貸与終了後に返還義務があると知った「延滞者」は16.3%に上り、申し込み時までの認識が十分ではないことがうかがえる。滞納が続くことになれば、個人の信用は社会人になる前に毀損されてしまう。同機構によると、2012年度から2016年度に「自己破産」したため奨学金の債務または保証債務が免責となったのは、返還者本人8108件、連帯保証人5499件、保証人1731件に上っているのだ。
皆さんは「お礼奉公」をご存じだろうか。これは、看護学校などに通う人が「看護奨学金」を受け取る代わりに、