「俺にもっとよこせ」慶應大兄VS公立弟の相続争い…5800万円の行方と想定外すぎた無駄出費に一族大混乱
「うちはお前たちに残す財産なんて何もないから期待するな」という親の発言を鵜呑みにするのは危険だ。筆者の友人Aさんは、父親の相続で痛い目にあった。現預金の財産はほとんどなかったものの、父親が生前保有していた不動産や株式の評価が高く相続税を支払う必要があったためだ。相続税の申請に遅れてしまうと、さまざまなペナルティがある。ペナルティを受けないためには、事前に親の財産を把握してスムーズに手続きを進めなければならない。
質素な生活をしていた父…見落としていた5800万の資産
相続税には基礎控除額があるので、相続が発生したら基礎控除額がいくらなのかを調べる必要がある。
相続税の基礎控除額の計算式は下記の通り。
【3000万円+(600万円×法定相続人の人数)=相続税の基礎控除額】
実は、この基礎控除額は2015年の法改正により下がり、以前に比べると相続税支払いの対象者が増えている。2014年に相続税を支払った人の割合は全体の4.4%だったが、2015年には8.0%になった。
今回のAさんのケースでは、すでに配偶者である母は亡くなっており、相続人は2人の兄弟だった。そのため、相続税の基礎控除額は3000万円+(600万円×2人)で4200万円だ。相続財産は現預金だけではなく、不動産、株式、貴金属などが対象になる。亡くなった人が経営者の場合は、自社株なども対象になるので、相続税の支払いが必要になる可能性が高いと思っておいた方がいいだろう。
Aさんの父親は、母親が亡くなった後は1人で質素に生活していた。残した現預金は少なく500万円ほどだったが、ほかにも上場株式を300万円ほど保有し、東京で一人暮らしをしていた住居の相続税評価額も5000万円だったことから、それなりの相続税が発生することになった。住居は古い家だったので、Aさんはそんなに評価が高いと思っていなかったようだが、近年の駅周りの開発により土地の価値が上がっていた。残った資産の評価額は5800万円。基礎控除額の4200万円を1600万円ほど上回っている。