中学受験させたいから2人目は諦める…「年収400万円では何も買えない」97年から下がり続ける平均賃金
なぜ日本人は「低賃金」をよしとするのか…
輸出大国ニッポンの名目GDPはこの25年間、ぜんぜん成長しなかった。しかも国際競争力のある産業は自動車産業しか残っていないから、EV(電気自動車)の普及によってトヨタ等が大きくシェアを失ってしまうと、ニッポンは確実に貿易赤字国に転落するだろう。ジリ貧である。
最近の大幅な円安によって、戦後経済を支えた輸出産業が息を吹き返し、新たな輸出産業も育つという逆転ホームランがあるかもしれないが、こいつを実現するには、中国やアジア諸国との価格競争に勝ち続けなければならない。すなわち「ニッポン国は世界的な価格競争に勝つため、円安を維持し、労働者の賃金も安く抑えないといけない」という主張が、国会議員やカリスマ経営者などからまた湧き上がってくるだろう。せっかくの賃上げムードもこの先、どうなるか分からなくなってくるのだ。
賃金コストは低ければ低いほど企業は利益が出しやすい。だから輸出産業だけでなく、ニッポンじゅうのあらゆる企業が低賃金政策の継続を願っている。彼らが組織する経団連や商工会議所は、今も「次なる低賃金政策」について、政界の有力者と意見交換しているだろう。彼らの資金援助を受けている与党もまた、低賃金労働者の増加はウェルカムなのである。こうして「低賃金政策」をよしとする空気のせいで、ニッポンは国内市場が完全にしぼんでしまっている状況だ。
賃金が下がっているのに税金を上げる…日本人の末路
下表を見てほしい。我々ニッポン人の名目賃金は、1997年の467万円をピークに15年にわたってだらだらと下がり続けてしまった。その後2013年に上昇に転じたものの、2019年に消費税が引き上げられると、また下落してしまっている。
【平均賃金と伸び率】