週刊誌記事を読んだ70代男性最後の賭け「ハイリスク投信5000万円一括購入じゃ」の結末
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「老後資金」の最後の砦、退職金はどう運用すべきか
公的年金に対する不安や老後資金2000万円問題などを考えると、現役時代にできるだけ資産の山を築いておきたいもの。特に退職金を受け取った時は「大切な虎の子だ。人生100年時代に備えて、しっかり増やしておかなければ」と肩に力が入ってしまう人も少なくないはずです。
そんな人にぜひ聞いていただきたいのが、老後資金(の一部)を一括でリスク資産に投じようとしていた大村さん(仮名)の話です。
その大村さん、1996年の春先ごろに、週刊誌の記事を持参して個別相談会(FP相談)に来られました。その記事は「毎月分配型投資信託がすばらしい収益を上げている」という内容でした。
毎月分配型投資信託は今では人気が離散している上、今回のケースはかなり昔の出来事です。中には、がっかりする読者もいらっしゃると思いますが、筆者は今でも株式や為替などが急落した際に大村さんのご相談を思い出すことから、その内容はけっして色あせていないと考えています。
大村さんは東京の下町にお住まいで、会社を起業して60代半ばまで働き、その後は息子に会社を継がせ、既にリタイアされていました。現役時代の年収は軽く1000万円を超えており、相談時には投資不動産(数階建てのビル)を1棟保有し、金融資産も1億5000万円前後保有していたと記憶しています。投資不動産と自宅のローンは完済していたため、経済面では悠々自適の老後を過ごせる人です。