金利爆上げ時代…最終結論「住宅ローンは変動か、固定か」答えはどっちも正解だ!
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夫65歳、妻63歳。住宅ローン残高が1500万円あって、完済まであと14年…年老いていく夫婦は何歳まで働かなければいけないのか?
欧米がインフレ退治を御旗にして急速に政策金利を引き上げていることから、「日本も後を追って金融政策を変更するのではないか?」という見方が増えてきました。
金融政策の転換が行われれば、(これまで動くことがなかった)変動金利型の住宅ローン金利も引き上げられることから、「住宅ローンは固定金利で借りるべきだ」あるいは「変動金利で住宅ローンを借りている人は早めに固定金利に変更すべきだ」という声も多くなっている気がしてなりません。長い目で見て固定金利が良いのか変動金利が良いのかは意見が分かれるのでしょうが、実は「金利よりも住宅ローンの完済時期(年齢)のほうが老後に与える影響がはるかに大きい」ことがよくわかる事例を今回はご紹介しましょう。
杉山(仮名)さんが筆者に相談をしたのは65歳前後と記憶しています。公的年金を受給するようになったことから、「夫婦ともにいつまで働けば老後は安心できるでしょうか?」というご相談でした。
杉山さんの家計を簡単に記載しておくと、住宅ローンは完済年齢が79歳で、残高は1600万円前後。保有する金融資産額は500万円程度。収入は杉山さんの公的年金が月8万5000円、勤労収入が月10万円、奥様は2歳年下で、収入はパートで月6万円の合計24万5000円でした。奥様の年金受給額は65歳から月4万5000円程度の予定です。
一方、毎月の支出は住宅ローンの返済を含めて24万~25万円程度とギリギリ黒字ではあるものの、月によってはマイナスになることもあると言っていました。杉山さんいわく、現在の収入は70歳までは同額が確保できるものの、70歳以降はパート扱いになるため月5万円に減額される予定とのことでした。
住宅ローンが残っていると、79歳までリタイアできない
結論を先に言えば、回答は「手持ちの金融資産では繰り上げ返済もままならないことから、住宅ローンが79歳まで残る。したがって完済するまで仕事を辞めることはできません」というものでした。杉山さんには酷な回答になったため、杉山さんは半ば納得、半ば諦めという顔をされていたことが、今でも住宅ローンの相談を受けるたびに思い出されます。