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年度末に日経平均3万1000円! 中国から資本流入で「上昇トレンド」は変わらない

樋口正

減り続ける給与、止まらない物価高…日本経済の厳しすぎる現状

 日経平均株価の今後はどうなるのか。9月30日には3カ月ぶりに2万6000円を割り込み、10月7日には2万7000円台にまで戻したものの、現時点(10月12日)では2万6000円台前半の水準で推移している。 

 目下の懸念材料は、ロシアのウクライナ侵攻により引き起こされた世界的なインフレだ。それはもちろん、日本も例外ではない。10月は食料品をはじめとする6532品目の値上げがあり、消費者は悲鳴を上げている。総務省によると、8月の消費者物価指数は2.8%上昇し、じつに30年11カ月ぶりの上昇幅だったという。さらに、企業物価指数の上昇も止まらない。8月の企業物価指数は前年同月比9.0%上昇し、5カ月連続で過去最高の数字を更新した。 

 一方で、消費者の懐は依然として寂しいままだ。OECDによると、1991年の実質賃金を100とした場合、2019年の日本の実質賃金は105程度に収まっていて、ほぼ横ばいだ。他方、英国は148、米国は141、フランスは134と他の先進諸国は、みな一様に日本よりも著しく伸びている。ジェトロのレポートによれば、2022年7月の平均為替レートで、2021年の平均賃金をドルベースで算出した場合、日本のそれは3万2503ドル、韓国は3万2532ドルで、日韓の賃金はすでに逆転されている。ここ30年間ずっと、日本経済は国際的な地位を失われ続けたという意味において、「失われた30年」という表現はまさに正鵠を射ている。 

 直近でも、厚生労働省が発表した8月の毎月勤労統計調査によれば、前年同月比の実質賃金は5カ月連続でマイナス、8月はマイナス1.7%を記録しており、まだまだ消費者の窮乏は止まりそうにない。そのうえ、ここ30年の間に消費増税や社会保険料負担増などもあったため、賃金の低下以上に消費者の可処分所得が減少していることは言うまでもないだろう。 

 消費者の手元資金は減り続けている。その一方で直近、物価が上がっているのであれば、短期的には日経平均株価が上向くことは厳しいと考えるのが自然ではないか。 

相場を大きく左右する4つの要素…米国経済、ウクライナ情勢、円安、脱コロナ。なのになぜ3万1000円なのか 

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