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米国株で「自称FIRE」した人たちが迎えた ”貧乏FIRE生活” の冬…あんなに強気だったあの人たちの今

遠藤洋

 20歳から投資を始めて26歳で起業し、これまでのべ1500人以上に投資術を教えてきた遠藤洋さん。そんな遠藤さんは「お金と時間の縛りから解放され、自由な人生を歩む」ことを目指した結果、「投資×ビジネスオーナー」の生き方にたどりついたという。遠藤さんが提唱する、“真のFIRE” とは――。全3回中の2回目。 

※本稿は『金持ちFIRE 貧乏FIRE』(宝島社)から抜粋、編集したものです。 

第1回:ハーバード芸人パックン「アメリカではドケチ=貧乏ではありません」1セントの節約は1セントの儲けだ!
第3回:サラリーマンは「40代でFIRE」するのはやめなさい…早すぎるリタイアの大きな落とし穴

「よし、会社をやめよう」と思った日 

 私が新卒でIT系のベンチャー企業に入社したのは、今から12年前のことです。ある朝、いつも通りに出社しようとした私は、なぜか会社の前を通り過ぎてしまいます。足の赴くままに向かった先は、都内の大きな公園でした。ベンチに腰を落ち着けた私は、人気の少ない公園の風景を眺めながら、今日は休みますと会社に連絡を入れたのです。 

 心の中に漠然と思っていたことを行動に移したことで、私の心は決まりました。今日、この時間のように、「天気がいい日にふらっと散歩に行けるような生活を送れるようにしよう」と思ったのです。私が目指したのは、「ある程度お金のある大学生の夏休み」のような生活でした。 

 当時は、スマホの急速な普及に伴って、ガラケー時代とは比較にならないほど鮮明な写真を、皆が気軽に撮ることができるようになっていました。そこで私が考えたのは、オンラインで写真データを受け取り、印刷して送り返すサービスです。顧客は毎月600円で一定枚数の印刷を依頼できる、今でいうサブスク型のビジネスを運営し始めたのは2013年のことでした。 

 ところが、写真印刷サービスは軌道に乗ることなく、事業を畳むこととなりました。やむを得ず企業向けのサービスにシフトして次の事業を始めましたが、仕事は取れたものの、結局は顧客企業のIT周りを外注として請け負うような形となってしまいました。 

 そうしてもやもやしていた28歳の頃、ビジネスオーナーへと舵を切る大きな転機が訪れます。当時、大学時代から続けていた株式投資はかなりの資産額に成長し、株式投資に関する知識も積み上がっていました。そのことを知った知り合いから、投資の勉強会をやってくれという依頼が舞い込んできました。深く考えずに始めたこの勉強会はかなりの評判を呼び、順調に拡大していきます。 

 勉強会を続けるうちに、また新たな展開が起こりました。それまで行った勉強会に参加した人や仲間内から、独自にビジネスを立ち上げる人が次々と出てきたのです。そこでビジネスを始めた人たちから話を聞き、彼らのビジネスモデルを精査して、有望と思えるビジネスに出資することにしました。その流れで現在も、上場企業の株式保有とは別に、自分が運営している会社も含め計6社に投資しながら、事業の育成を行っています。 

小型株への集中投資で90倍 

 私が個人投資家にお勧めする投資手法は「小型株への集中投資」です。投資する企業は時価総額300億円までと決め、小規模な企業の中から事業の成長性に確信が持てる1つの銘柄を厳選し、1点投資をしてきました。 

 1点集中投資に徹して、投資している銘柄の四半期決算やビジネスに関係する経済状況などを漏れなくチェックしていけば、自分の思惑通りに事業が拡大しているか、事業成長が頭打ちになっているか、どちらなのかを見逃すことは、まずありません。結果、失敗が少なくなり、より大きなリターンを得る確度が上がります。 

 例として、私がこれまでに行ってきた投資の中でも特に思い出深い、ゲーム会社への投資についてお話しします。新卒で入社したIT系のベンチャー企業に在籍していたとき、新しいスマホアプリの製作に参加しました。

 その際、市場調査の一環として、さまざまなゲームアプリをインストールして、実際に遊んでみました。その中で、『パズル&ドラゴンズ』(略称「パズドラ」)というゲームにはすっかりはまってしまったのです。 

 それまでスマホゲームなどまったくやったことがなかった私が、虜(とりこ)になってしまうほどの吸引力を持つゲームです。それを開発したガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765)の株は大化けする可能性が高いと踏み、当時の自分としてはかなりの額を投資しました。

 ガンホーの株価は、最も調子がよかった時期には1年間で90倍近くになりました。私もその時期をとらえて投資することができたので、90倍とまではいきませんでしたが、かなりの利益を得ることができました。 

巷にはびこるFIREはFIREにあらず 

 サラリーマンには安定志向の人が多いといわれます。しかし私にいわせれば、多くのサラリーマンが本当は安定していないと思います。勤務先に自分や家族の安定を任せるより、自分で自分を食べさせていけるビジネスを構築したり、投資収益を安定してあげられるポートフォリオを作ったりするほうが、本当の安定につながります。FIREを恐れて安定に走る人は間違っており、FIREを達成した状態こそが真の安定なのだと、私は思っています。 

 実を言うと、巷(ちまた)でいわれているFIREブームに対して、私自身はずっと違和感を持ってきました。近年の米国株ブームに乗り、たまたま米国ナスダックのレバレッジETFを持っていたら「億った(=億り人になった)」という人や、仮想通貨ブームに乗って億ったという人は少なくありません。 

 私にいわせると、これらは「本質的なFIRE」ではないと思います。いってみれば高額の宝くじに当たったようなもので、本人のチャレンジや試行錯誤とは関係なく安易に手に入れたお金にすぎません。

 そんな人たちがSNSで広めている不確かな情報や手法を信じて、例えば「今まで米国株が伸びてきたから、この先も伸びていくだろう」と考える人は、思考停止しているようにしか見えません。 

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この記事の著者
遠藤洋

自由人・投資家。東京理科大学を卒業後、ベンチャー企業を経て26歳で起業。20歳から始めた投資では、最大年間利回りプラス600%、1銘柄の最大投資益プラス1760%を達成。経営者、上場企業役員、医師、弁護士など1500人以上に投資を指導し「勝てる投資家」を多数輩出すると共に、自ら成長性あるビジネスへの投資も行っている。

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