S&P一択!は本当に正しいのか…「新NISAはお得なクーポンみたいなもの」アナウンサー投資家解説「NISAで損切りの是非」

本稿で紹介している個別銘柄:オリエンタルランド(4661)
フリーアナウンサーとして競馬番組のキャスターやイベントMCなどで活躍する傍ら、投資家として‟億り人”を目指す佐田志歩さん。投資を始めてまだ数年と歴が浅いながらも、今年の暴落については「落ち着いて対処できた」と筋の良さをうかがわせる。3回にわたって送るインタビューの第2回は佐田アナの「NISA」の活用術について聞いた。
目次
「新NISAといえばS&P一択だ」と言われていることに疑問
ーー今回はNISA(少額投資非課税制度)についてお尋ねしたいと思います。佐田さんはいつからNISAをしていますか?
NISAは去年初めて使いました。それまでは制度をあまり分かっていなかったのですが、個別銘柄もNISAで買えると知り、取引を始めました。
ーー今年から新NISAとなりましたが、そもそもNISAは「長期保有するもの」というイメージがあります。佐田さんのお考えを聞かせてください。
世の中のNISA(新NISA)に対するイメージが私とは違っているなと思います。まず、新NISAと個別株を分けて考える必要はないと思っていますし、個別株をやる人も新NISA枠を使って良いと思うのです。
本題に入る前に新NISAについて少し解説します。新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があります。個別株は、成長投資枠を使って買うことができ、年間投資枠の上限は240万円。新NISAでは、利益が1800万円(うち成長投資枠は1200万円)以内の場合、非課税になります。
一方でつみたて投資枠は投資信託やオルカンなどに投資でき、年間投資額の上限は120万円。新NISAでは、つみたて投資枠と成長枠投資を併用できるようになりました。投資枠が増えたことと、併用できるようになったことなどが2023年までのNISAとの大きな違いですね。
これだけ聞くと、新NISAを使うとお得だと思いますよね。それは間違いありませんが、世間で「新NISAといえば、S&P一択だ」と言われていることに私は疑問があります。
つみたて投資だけじゃない。成長投資枠の使い方
ーーおっしゃる通り、「S&Pを買っておけば間違いない」「全世界株型の投資信託・オルカンを積み立てればゆくゆくお金は増える」という言葉などを使って説明する人はいますよね。
つみたて投資枠は100円から始められますし、まずは株を始めてみたいという人への入門にはぴったりだと思います。ただ、NISAの活用方法はそれだけではないと私は思っています。それぞれに合う「新NISAの形」を見つけて欲しいです。
かくいう私は成長投資枠を使って個別株の売買をしています。非課税保有限度額(総額)が1800万円(うち成長投資枠は1200万円)なので、これを使えばお得になるのではないかと思って始めてみました。
「非課税だから」ということは考えずに損切り
ーーSNSで「NISAで損切りをした」と投稿されたことがあるかと思うのですが、その話についても詳しく教えてください。
つみたて投資枠だと損切りすることはあまりないかと思いますが、成長投資枠で個別株の売買をしているので、予め自分が立てたシナリオ通りに株価が動かない場合は損切りをしています。
これは、「新NISAだから○○をする」という考え方はしておらず、新NISAの枠を使っていても、使っていなくても個別株の売買をする上でのルールは変えないということです。新NISAは非課税枠が大きいですが、非課税枠に捉われて含み損を抱えているのは本来行うべき投資ができていないということになるのではないかと思います。それは本末転倒ですよね。