「絶望的に売買が下手」億トレ兼業投資家がたどり着いた「損切り」ルールの奏功

キリン氏(@yudu1105)は、神戸投資勉強会を主催する兼業投資家だ。株式投資を始めて10年で1億を超える資産を築いたという。キリン氏が考える勉強会の効果、そして1億円を築くに至った自らの投資ルール、特に重視する損切りについて詳しくうかがった。連載全2回の第1回。
目次
150万円でスタート、追加入金、そして1億円超に
ーー-昨年11月に続き2度目のインタビューとなりますが、改めて簡単に株式投資を始めた経緯について教えてください。
株式投資は2015年春に始めたので、今年でちょうど10年になります。もっと若い頃から株には興味があったのですが、金融関係の会社に勤めており、社内規定で株式投資はできませんでした。そのため、株式投資を始めたのは部署異動をしてからで、今も同じ会社に勤める兼業投資家です。
ーー最初はどの程度の資金で株式投資を始めたのでしょうか?
最初は約150万円の資金でスタートしました。しかし、最初は何を買っていいかもまったくわからず、適当に売買していたので当たり前ですが、思うように資金を増やすことができませんでした。4~5年コツコツと損失の穴埋めとして、入金を繰り返しました。総額いくら入金したか細かくは計算していないものの、最初の約150万円と追加入金を繰り返して、現在は1億円を超える運用資産になっていますが、誇れるような実績では到底ありません。
ただ、飽きやすい性格の自分が趣味で株をはじめてから10年間、退場することなく続けてこれたのは良かったと思いますし、人生が変わったかというと微妙ですが、少なくとも株を始める前よりは今のほうが人生が豊かになっている気がするので、総論としてやっててよかったなと思います。
株は苦労の連続、楽してお金儲けはできない
ーー投資を始めて10年で1億円を超える資産を作られたキリンさんですが、これまでの投資人生で一番苦労したのはいつ頃でしたか?
常に苦労しているのですが、初期の低迷を除くと、苦労しているのは「今」になるかもしれません。2017~2018年ごろは、開示情報を速読して好決算の銘柄を翌朝の寄り付きで購入する「寄り凸」をしておけばある程度のパフォーマンスが出せたので、今思えば比較的やりやすい相場環境でした。ところが、SNSなどを通じてそういった投資手法が知れ渡る速度も昔と比べて飛躍的に上がっていますし、同じ手法だけでは思うような成果が出なくなっています。また、近年は東証による低PBR改善要請などもあり、バリュー優勢の相場が続きましたが、もともと小型グロース中心に見ており、マインドチェンジがうまくできず相場に乗れない、といったこともありました。
自分は勉強が得意なのですが、株式投資は真面目さだけでなく、柔軟な対応力など、ほかの素養も必要なので、この年齢になってもまだまだ鍛錬が必要だと思っています。