米国株は8月・9月が分かれ道・・・5億円投資家「勝負の夏」攻略ガイド

本稿で紹介している個別銘柄:トヨタ(7203)、ソニーグループ(6758)、サンリオ(8136)、ブシロード(7803)
日本は決算発表の減少や夏季休暇による「夏枯れ相場」が到来する中、米国ではトランプ政権の「相互関税」90日猶予が7月に終了。さらにFRBの利下げ観測もあって市場の不確実性を高めている。
では、米国株式市場にも「夏枯れ相場」なるアノマリーは存在するのだろうか。また、2025年夏以降の経済政策の方向性も気になるところだ。
今回は、登録者数24.9万人を誇るYouTubeチャンネル『ライオン兄さんの米国株FIREが最強』を運営するライオン兄さん(X:@okane_315)氏と、彼が代表を務める『Financial Free College』(以下、FFC)の講師・松本侑氏(X:@smatsumo0802)に、米国株式市場における「夏枯れ相場」の実情と、2025年夏以降のトランプ関税や日銀の金融政策の方向性について話を伺った。連載全2回の第2回。
(2025年5月27日取材)
目次
8月のジャクソンホール会議で市場動向が決まる
ーー日本では「夏枯れ相場」がありますが、米国株式市場における「夏枯れ相場」があれば、その特徴や注意点を教えてください。
過去66年間のS&P500のデータでは、夏季と呼べるかは微妙なところですが、9月が最も下落確率の高い月で、約60%の年で平均5%下落しています。この理由として、夏季の取引量減少、バケーションシーズン、決算発表が行われないことが原因として挙げられます。
さらに、8月のジャクソンホール会議でのFRB議長の発言も市場を大きく揺るがす要因となり得ます。
実際に、2022年のパウエル議長の利上げ発言でS&P500が3%下落したように、2025年も関税や金利の動向が9月の下落幅を左右することが予想されます。
利下げ観測の観点からも、2025年の同会議で何かしら発言があるのではないでしょうか。この発言の有無次第で、9月の下落幅が決まると言っても過言ではないかもしれません。
パウエル議長が利下げしたい本当の理由
ーー2025年夏以降の金融政策の見通しはどうなりますか?
私は、追加関税が発動しないシナリオを想定しています。この場合、インフレが過度に加速せず、利下げの余地が生まれる可能性があります。
逆に関税が発動すると、輸入コストの上昇によりインフレ圧力が高まり、金利上昇リスクが増します。この状況では、FRBが利下げに踏み切るのが難しくなります。
また、パウエルFRB議長の動向も注目していて。2026年5月に任期満了を迎えるパウエル氏の個人的な思惑が、市場の期待と乖離する可能性がある。
2022年のインフレピーク(9%)を抑えた実績をレガシーとして残したいと考えているでしょう。そのため、2025年の利下げは慎重になる可能性が高いと見ています。
そのほか、トランプ大統領との関係がギクシャクしているのも、利下げを控える理由になりそうです。
一方、トランプ氏が2026年の中間選挙に向けて減税や規制緩和を打ち出せば、2017年の税制改革でS&P500が20%上昇したような株高が期待できるでしょう。
したがって、短期的な下落リスクに備えつつ、長期的な成長を見据えた戦略を構築する必要があります。