いま東京でマンションを買うなら「城東エリア」を選びなさい…識者が断言する理由とは 世帯年収別のおすすめエリアとマンションを実名で大公開

東京23区のマンション価格は、近年、とどまることを知らないかのように上昇を続けている。特に、これまで人気の中心であった世田谷区、目黒区、港区といった城西・城南エリアでは、新築マンションの価格は平均的なファミリー層が気軽に手を伸ばせる水準を大きく超えつつあるのが現実だ。都心でマイホームを、という夢は、多くの人にとってますます遠いものになっているのかもしれない。
こうした中、都内のマンション購入検討者にとって今新たな光を放っていると言えるのが台東区、墨田区、江東区、江戸川区、足立区などの「城東エリア」だ。東京の東側に位置するこのエリアは、かつての「下町」というイメージから大きく変貌を遂げ、利便性、将来性、そして何よりもコストパフォーマンスの高さで、識者から熱い視線を浴びている。
そこで今回、自身も世田谷区から城東エリアに移り住んだ経験を持つマンション購入専門家のすまいよみ氏に、城東エリアの魅力やおすすめの地域・マンションなどを伺った。みんかぶプレミアム特集「マンションで稼ぐ術」第3回。
目次
いま、城東エリアが「買い」な理由 世田谷よりも魅力的?
「城東エリア」と聞くと、どのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。人情味あふれる下町、歴史ある街並み、あるいは、都心から少し離れた住宅地といった印象を持つ方も少なくないかもしれません。しかし現在の城東エリアは、そうした固定観念を覆す、コストパフォーマンスと将来性に優れた魅力的なエリアとして生まれ変わりつつあります。
私が城東エリアの魅力に目覚めた原点は、かつての私自身の経験にあります。私は生まれてから30年ほど、ずっと世田谷区に住んでいました。世田谷はイメージもいいですし、自分でもマンションを買うときには「やっぱり世田谷だ」という思いがありました。ですが、あるきっかけで城東エリアに移り住むことになり、そこで初めて、価格の割に利便性が優れていたり、暮らしやすさの条件が整っていたりといった、城東エリアの魅力を実感したんです。
イメージだけで城東エリアを避けるのは大きな間違いだ
この経験は、多くのマンション購入検討者の方が抱える「ブランドイメージ」と「実生活の価値」の間のジレンマを象徴しているかもしれません。世田谷、目黒、杉並といった城西(城南)エリア(以下、城西エリアで統一)は、東急東横線や東急田園都市線、京王井の頭線といった人気路線と早くから行われてきた開発に支えられ、洗練された街のイメージが長年にわたって築き上げられてきました。そのブランド力は絶大で、多くの人が憧れを抱いています。しかし、その人気は価格に直接反映され、坪単価は高止まりしています。同じ予算で探した場合、駅からの距離を妥協せざるを得なかったり、部屋の面積を削る必要があったりと、理想を描いていた住まい像から何らかの我慢を強いられるケースが少なくありません。
また、これらのエリアの中には、古くなってきた街、都心へのアクセスが若干不便な街も少なくありません。一般的なファミリー層全ての世帯にとって、本当に住みやすい街と言えるのかどうか、今にして思えば疑問が残ります。
我慢して世田谷や杉並に住むことより、コスパ重視なら城東を選ばない手はない
一方で、私が30年にわたる世田谷生活を経て移り住んだ城東エリアは、私に新たな住まいの価値基準をもたらしてくれました。たとえば、同じ「都心まで電車で20分」という条件で比較した場合、城東エリアの物件は城西エリアに比べて、明らかに広い面積を確保でき、かつ価格も手頃であるという現実があります。世田谷や杉並と比べると、坪単価で一回りは安そうな価格です。それでいて、暮らしやすさは何ら遜色ないですし、むしろ上回る部分もあります。住んでみて、手ごろな価格でコスパよく暮らせる良い場所だな、と実感したんです。
この「コストパフォーマンスの高さ」こそ、城東エリアが持つ最大の魅力と言えるかもしれません。憧れやイメージという定性的な価値だけでなく、通勤時間、住戸の広さ、周辺施設の利便性といった、日々の生活に直結する定量的な価値を重視するならば、城東エリアは極めて合理的な選択となります。特に、昨今の建築費高騰によりマンションが全体的に狭小化する傾向にある中で、ゆとりある広さを現実的な価格で手に入れられる可能性が、城東エリアにはまだ残されているのです。
東京という都市の重心はこれから西→東にシフトする
城東エリアの価値を押し上げているもうひとつの大きな要因は、その地理的優位性にあります。城西エリアが新宿・渋谷の発展とともに価値を高めてきたのに対し、城東エリアは日本のビジネス・商業の中心地である東京駅・銀座エリアの発展と密接にリンクしています。
現在の東京駅周辺は「100年に一度」とも言われる大規模な再開発の真っ只中にあります。八重洲、日本橋、京橋といったエリアでは、国際競争力を高めるための超高層ビルが次々と建設され、世界中からビジネス、商業、観光の機能が集積しつつあります。この動きは、東京という都市の重心を、明らかに東側へシフトさせています。
まだ間に合う!「東」へのシフトに乗り遅れるな
城東エリア、特に江東区、墨田区、台東区といった地域は、この巨大な成長エンジンである東京駅周辺の隣接エリアに位置します。これは、不動産価値において極めて重要な意味を持ちます。都心の発展は、周辺エリアに波及効果をもたらし、地価や住宅需要を押し上げるからです。
私が移り住んできた10年ほど前だと、勝どきや豊洲も4,000〜5,000万円で買えたような状況でした。今では相場が縮まりましたがが、それでも城東エリアは、世田谷や目黒、杉並などの中心エリアと比べるとまだ安いと言えます。
城東エリアの資産価値が今後も上がりそうな、これだけの理由
マンションの資産価値を左右する最も重要な要素のひとつが「交通利便性」です。その点においても、城東エリアは大きな将来性を秘めています。
現在計画が進行している「羽田空港アクセス線(仮称)」は、城東エリアの利便性を劇的に向上させるでしょう。この新線が開業すれば、東京駅や新木場、そして湾岸エリア、城東エリア内陸から羽田空港へのアクセスが大幅に短縮されます。これにより、ビジネスや旅行での空路利用が多い人々にとって、城東エリアは非常に魅力的な居住地になると思います。
また、東京メトロ有楽町線の延伸(豊洲〜住吉)も計画されています。これが実現すれば、江東区内の南北交通が強化され、これまで鉄道空白地帯であったエリアの利便性が飛躍的に向上します。東京都心部から湾岸部までを通す「臨海地下鉄構想」というビックプロジェクトも控えています。
これらの交通インフラの整備は、単に移動が楽になるだけでなく、駅周辺の新たな開発を誘発し、街全体の価値を底上げする効果が期待できます。
注目の大規模再開発が城東エリアに集中 資産価値の伸びしろは大きい
さらに、城東エリアの「伸びしろ」を象徴するのが、各地で進行・計画されている大規模な再開発事業です。城西の人気エリアの多くが、成熟した街として安定期に入っているのに対し、城東エリアには、小岩、立石、西日暮里、北千住など、再開発によって街が生まれ変わろうとしている場所が数多く存在します。
古い木造住宅が密集していたエリアが、タワーマンションや商業施設、緑豊かな公園などを備えた近代的な街並みに変貌を遂げる。こうした「街が新しくなる」という変化をリアルタイムで体験でき、その恩恵を資産価値として享受できる可能性があるのは、現在の城東エリアならではの大きな魅力です。かつて武蔵小杉が再開発によってその評価を劇的に変えたように、城東エリアにもポテンシャルを秘めた街が点在しているのです。そして、時代性や社会問題を反映した街づくりが、これからできるのです。
意外と子育て世代に優しい城東エリア 住環境も支援策も充実
都心へのアクセスや資産価値だけでなく、日々の暮らしの質、特に子育て環境も、ファミリー層にとって重要な選択基準です。この点においても、城東エリアは優れた側面を持っています。
たとえば江戸川区や足立区は、23区の中でも公園面積が広いんです。江戸川区は区立公園の面積が23区で1位、足立区もトップクラスの広さを誇ります。広大な敷地を持つ葛西臨海公園(江戸川区)や舎人公園(足立区)をはじめ、大小さまざまな公園が区内に点在し、子どもたちがのびのびと遊べる環境が整っています。
また、荒川や江戸川の広大な河川敷は、サイクリングやバーベキュー、スポーツなどを楽しむ絶好のレクリエーションの場であり、都心近くにありながら自然を身近に感じられる豊かな住環境を提供しています。
行政による子育て支援策が手厚い自治体が多いのも特徴です。例えば、江戸川区は長年にわたり独自の私立保育園への補助金制度を充実させており、待機児童問題の解消にも積極的に取り組んでいます。こうした「子育てのしやすさ」は、特に若いファミリー層にとって、金銭的な価値だけでは測れない大きな魅力と言えるでしょう。
【世帯年収1,000万円/予算8,000万円】今狙うべきエリアはここだ 知られざる注目駅の名前
ここからは、城東エリアで具体的にどの街を、そしてどのマンションを狙うべきなのか、世帯年収別に詳しく見ていきましょう。