米国25%関税でどう動く?fundnoteファンドマネージャー川合直也が語る、注目テーマ株と個人投資家の戦い方

本稿で紹介している個別銘柄:ニトリHD(9843)、湖北工業(6524)
2025年7月7日、米国のトランプ政権が日本からのすべての輸出品目に対して25%の追加関税を課すと発表した。この衝撃的なニュースは市場に大きな不透明感を与え、業種ごとに明暗が分かれる状況となっている。
ただし、この事態を冷静に分析し、逆にチャンスを探る投資家もいる。
「井村助言ファンド」でも注目を集めるfundnoteのファンドマネージャーであり、国内中小型株・IPOのスペシャリストとして知られる川合直也氏に、今回の関税の影響と、個人投資家がこれからどう戦えばよいのか、注目のテーマ株とあわせて話を聞いた。 (2025年7月9日取材・ちょる子)
目次
米国の「全品目25%関税」は深刻。それでも「関税は交渉のボール」
川合氏は、今回の追加関税を「4月に議論した時よりも状況は明らかに深刻」と見る。ただし、その見方はあくまで冷静だ。
「本来、関税というのは払うのはアメリカの消費者や小売業者だといわれていますが、実際には日本の企業がそのままの価格で輸出し、その25%分を米国の消費者が丸ごと負担しているわけではありません。25%高い価格で売られることを前提に、ある程度は日本企業側が値引きして輸出しているのが実情です」
「例えば自動車産業では、すでに輸出価格が下がっている統計が出ています。この差額分は日本メーカーが吸収しており、結果としてトヨタやスバルのように日本で生産して米国へ輸出している企業は赤字リスクを抱えざるを得ないのです」
今回の関税がもし発表通りに施行されれば、その影響は4月に議論された水準を上回り、日本経済全体に与えるインパクトも甚大になる。しかし川合氏は「25%という数字自体が交渉のボール(交渉材料)」だと捉えている。
「最終的には、一定程度低い関税に落ち着く可能性が高いとみています。市場もすでに『落とし所』をある程度織り込んでいる状況です。ですので、現状ではむしろ関税が引き下げられる期待の方が強まっています。ただし、もし交渉が決裂して本当に25%のまま実施されれば、想定以上のインパクトが出る可能性は十分あります。個人投資家としても、最悪のケースを想定した備えは必要です」
輸出依存から「内需」「構造成長テーマ」へ
こうした外部リスクに備えるために、投資家がどのように立ち回るべきか。
川合氏が心がけているのは「輸出依存を避ける構造のポートフォリオ」だ。
関税が何%になろうとも、大きな影響を受けにくい銘柄構成にすることでリスクを抑えているという。
「TOPIXや日経平均を構成する大企業の多くは輸出依存度が高いです。だからこそ、輸出比率が低い企業や、内需型で構造的に成長が見込めるテーマ株をポートフォリオの軸にしています」
加えて、川合氏のファンドでは円高局面でも収益がぶれにくい企業を重視している。
「例えば、家具小売大手のニトリHD(9843)は円高になれば仕入れコストが下がり、利益率が改善します。こうした企業は、為替変動リスクのヘッジとしても有効です」
注目のIPOは「湖北工業(6524)」海底ケーブルで成長余地大
関税という逆風の中でも、川合氏が特に注目しているのがIPO銘柄の湖北工業(6524)だ。