国際的投資家「令和最大の買い場がまもなくくる」関税15%の裏側で投資80兆円を約束させられた日本にかかる増税圧力…外資とアクティビストが狙う注目銘柄リスト

本稿で紹介している個別銘柄:ユタカフーズ(2806)、伊藤忠食品(2692)、丸紅建材リース(9763)、村上開明堂(7292)、アリアケジャパン(2815)、クミアイ化学工業(4996)、東京産業(8070)
8月に日経平均株価は過去最高値を更新し、9月現在も好調を維持している。しかしその裏で「株価と為替が“逆回転”するタイミングがまもなくやってきます」と話すのは、国際的投資家であり、株式評論家の木戸次郎氏だ。「逆に、そこが令和最大の買い場にもなるでしょう」という。いったい、何がきっかけになるのか。外資やアクティビストはいま、どんな銘柄を狙っているのかーー。
みんかぶプレミアム特集「『金利のある世界』の稼ぎ方」 第3回。
目次
ボラティリティ投資に踊らされている相場
市場に熱狂が広がる時ほど、プロの資金は静かに“次の仕掛け”を準備している。いま、その象徴が「ボラティリティ投資」だ。株価そのものではなく、変動幅に賭ける戦略である。平時は目立たず、しかし嵐のときに爆発的なリターンをもたらすこの手法を、すでに海外ヘッジファンドやアクティビストは駆使している。つまり、私たちが「上がった」「下がった」と指数に一喜一憂している間に、次代の勝ち組は壮大な仕掛けを始めている。言い換えれば、我々はまんまと踊らされているのかもしれない。
東京市場は熱狂の渦にある。日経平均は連日のように高値を更新し、証券会社の窓口には久しぶりに個人投資家の姿が戻り、証券アプリのダウンロード数も急増している。新聞やテレビは「日本株バブル再来」「経済復活」といった見出しで盛り上がっている。
実態は「生活が苦しい」家庭も増えている見かけ上の株高…軽井沢やニセコは外国人富裕層に買われまくりだ
しかし私は、この光景を前にして素直に喜ぶことができない。むしろ不安を強く覚えるのである。なぜなら、この相場の土台は企業の実力ではなく、円安と株価指数に支えられた実体以上の株高だからだ。
輸出大手の利益は確かに円安で押し上げられる。しかしその裏側で、私たちの生活に直結する電気代やガソリン代、食料品の価格はじわじわと上昇を続けている。実質賃金は低下し、共働き家庭でさえ「去年より生活が苦しい」と口を揃える状況だ。
円安は一部の輸出大手や株主を潤すが、庶民にとっては生活コストの上昇と貯蓄の目減りをもたらす。そしてもっと深刻なのは、日本全体が「ディスカウント国家」と化していることだ。外国資本は日本の不動産や森林、水源地、さらには企業株式を次々と買い漁っている。軽井沢や北海道ニセコのリゾート地は外国人富裕層に買われ、地元の若者はマイホームすら持てなくなった。
低PBRで放置された「安い日本株」が、外資やアクティビストの標的に…ウクライナ戦後の支援が乗っかる
企業に目を向ければ、低PBRで放置された銘柄は「安い日本株」として外資やアクティビストの標的となっている。この現実を直視しなければならない。
そこに加わるのがウクライナ戦後の国際支援負担と防衛装備品の大量購入である。英仏主導で「有志国連合」が立ち上がり、スターマー英首相は戦闘終結後のウクライナに「確固たる安全の保証」を与えるため、30カ国規模での平和維持枠組みを準備している。NATOのルッテ事務総長も「日本を含む30カ国がウクライナの安全枠組みに取り組んでいる」と言明した。つまり、日本にも役割分担が求められるのは避けられない。
思い起こせば1990年の湾岸戦争、日本は130億ドルを拠出しながら血を流さず「国際社会の財布」と揶揄された。当時は1ドル=130円前後であり、円安が進行した現在なら同じ額でも円換算の負担ははるかに重い。あの屈辱の記憶が蘇る。今回もまた、復興資金や平和維持の負担を日本が過大に背負わされる構図が透けて見えるのである。
自動車関税15%の裏側で、投資80兆円を約束させられた日本にかかる増税圧力
さらに、石破首相が誇らしげに語る「自動車関税15%での妥結」の裏側で、日本はトランプ大統領に巨額の防衛装備品調達を約束させられていた。そこへ加わるのが日米合意に基づく80兆円規模の投資文書作成要求である。日本政府は「出資比率はごく一部であり、利益の90%が米国に渡るのはその範囲に限られる」と説明するが、米国は政治的に“日本が90%を差し出す合意”として喧伝している。いずれにしても巨額負担には違いなく、財政余力を一層圧迫する。増税必至の理由がまたひとつ積み上がったのだ。
財政は国債発行に頼れず、法人税増税の議論が加速している。消費税減税など夢物語に過ぎず、むしろ国民には増税と生活コスト上昇の二重苦が迫っている。