なぜ湾岸タワマンの住民は中国人だらけになりつつあるのか…湾岸タワマンは大手企業で働くパワーカップルでさえ購入できない金額まで価格が高騰しつつある

タワーマンションが林立し、近年は高級住宅エリアとしての風格が漂いつつある湾岸エリアに異変が起きている。海を渡ってやってきた中国人たちの存在だ。法律やルールを無視し、傍若無人に振る舞う中国人の存在は、湾岸セレブたちの生活に悪影響を及ぼしつつある。
令和のチャイナタウンとして文化の衝突の最前線となりつつある、湾岸エリアの現在地を、ジャーナリストの汐留太郎氏が追ったーー。みんかぶプレミアム特集「マンションはまだ稼げるか」第8回。
目次
晴海フラッグ(タワマン)の部屋をそのままホテルとして使っていると思しき中国人たちを記者が目撃
「ほら、あの車です、白タクです」
8月下旬の週末。夕方に晴海フラッグを訪れた記者を案内する男性が指さした先には、トヨタのミニバン、アルファードが路肩に停車していた。ハザードが点滅する車両から小太りの運転手が降車し、バックドアを開けるとスーツケースが次々と出てくる。後部座席から次々と人々が降りてくる。住人のふりをして素知らぬ顔で近づくと、中国語を喋っていた。こちらの視線に気づくこともなく、スーツケースを転がす人々は、そのままマンションへと吸い込まれていき、アルファードは音もなく去っていった。
「白タクで空港から乗り付けて、そのまま部屋をホテルとして使っているんです。もちろん白タクは法律で禁止されていますし、民泊も管理組合のルール上禁止ですが、中国人は『日本のルールなんて守る必要はない』というスタンスなので、なにを言っても無駄です。警察官に来てもらっても、『友人に送ってもらった』『友人の家に泊めてもらっているだけだ』と主張して言い逃れするだけで、実効性はほとんどありません」
深いため息をつく男性は、隠し持っていたスマホで撮影したアルファードのナンバーをLINEで送信した。あまりにもマナーが悪いため、有志の住民で共有しているのだという。違法民泊が問題になった当初は路上に設置されていたキーボックスを取り除くなどして一定の効果があったようだが、最近では手口が巧妙化しており、いたちごっこの様相を呈しているという。
駐車場では、駐車スペース以外の場所に中国人の所有する大型車が停めてあり、写真つきのポスターを貼って警告しても無視され、時には破られることもあったという。晴海フラッグに住むのは多くがサラリーマンであり、「実力行使」は難しい。完全に足元を見られた上で、舐められているのだ。取り締まる側の警察や管理組合のリソースが追いついておらず、焼け石に水の状態だという。
マナーの悪い中国人住民が問題化
かつて入居開始後も転売住戸だらけで「ゴーストタウン」として揶揄されていた晴海フラッグだが、いまやほとんどの住戸に光が灯り、活気がある街並みとなっている。しかし、人口が増えることで生じている新たな問題が、上記のような中国人問題だ。男性によると、晴海フラッグでは全体の1〜2割程度の住民が中国系の住民だという。もちろん、すべての中国人がルールを守らないわけではないが、それでも、悪目立ちしているのは間違いない。
その象徴が、犬の糞だ。新しい建物が整然と立ち並ぶ街並みながら、地面をよく見ると犬の糞が目立つ。歩行者が暗くなって気づかれなかったのか、踏まれた跡もあった。
「中国人は犬を飼う人が多いのですが、散歩のときに出る糞を処理しない人もおり、そのまま放置されています。たまたま見つけて注意しても、『そのために管理費を払ってるんでしょ?』と逆ギレする始末。バルコニーで煙草を吸ったり、ゴミ捨て場でゴミを分別しなかったり、問題を数え上げればキリがありません」
湾岸タワマンは大手企業で働くパワーカップルでさえ購入できない金額まで価格が高騰しつつある
徐々に中国人に飲み込まれつつある湾岸エリアだが、これは氷山の一角であり、むしろ今後加速するとの見方もある。現在、大きな問題となっているのが、日本人がマンションを買えなくなりつつあるという現実だ。
東京カンテイが8月に発表した最新のデータによると、東京23区の70㎡あたりの中古マンションの平均価格は前月比1.4%増の1億477万円と、15ヶ月連続で上昇した。中央区を含む都心6区に限れば、1億6699万円となっている。晴海フラッグでも、普通のファミリータイプの部屋が1億5000万円で売り出されている。管理費・修繕積立金を足せば月々の支払いは45万円に達する計算だ。夫婦とも大手企業で働くパワーカップルであっても、この金額を実際に支払える人は限られる。
「湾岸エリアで手が届く物件はほんとないし、出てもすぐに売れてしまう」
大手インフラ企業で働く田中さん(40歳、仮名)はため息をつく。現在、会社の借り上げ社宅制度を使って勝どきのタワーマンションに住んでいるが、会社の福利厚生制度の見直しに伴い、住宅購入に迫られている。SUUMOなどのポータルサイトを巡回して家を探す日々だが、手頃な物件は少なく、焦りをつのらせている。
タワマン購入において、日本人が中国人にタッチの差で買い負けることが多い理由
小学校に通う子どものことを考えると、学区を変えることは難しい。少しでも安い物件を探そうとする田中さんを悩ませるのは、中国人の旺盛な購入意欲だという。