「株価はいつ上がり、いつ下がるのか」そんな疑問もすべてチャートが教えてくれる!伝説の株職人が伝えたい、チャートの基本

「株価はいつ上がるのか」あるいは「いつ下がるのか」。そんな投資家にとっての究極の関心事について、伝説の株職人と呼ばれた相場師朗氏は「チャートが教えてくれる」と話す。まず覚えておきたいチャートの読み方を、相場氏が伝授する。全4回中の4回目。
※本稿は相場師朗著『株チャート最強の先読み投資 上昇も下落も「想定外」もすべてを利益に変える!』(バトン社)から抜粋・再構成したものです。
第1回:“伝説の株職人”が教える「なぜ株価は上下するのか」人の心を読むテクニック
第2回:初心者こそ“素直な株”を選ぶべし!重要なのは「銘柄選びよりエントリーと利益確定」
第3回:チャートを読み解けば相場の“本当の姿”が見えてくる!チャートを理解するための4つのテーマとは
目次
トレンドの転換点は「ローソク足15本」
永遠に続く上昇も下落もありません。必ず終わりがやってきます。そんな続伸・続落の終了を教えてくれるのがローソク足の本数です。
いろいろなチャートを分析した結果、上昇も下落も15本前後です。このあたりで利益確定の売りや買い戻しが入り、トレンドはいったん収束し、転換することが多いようです。
そこで売買のエントリーをしてから続伸・続落という局面で、「いつ利益確定をしようか?」と迷ったときには本数が手じまいの手がかりとなります。
数え方は簡単です。上昇・下落が始まったローソク足を「1」とし、ローソク足を数えればいいのです。
そのとき注意したいのは、上昇や下落のスタートを「1」とカウントすることです。数える起点は、自分がエントリーしたところではありません。
カウントではトレンドが続いている限り陽線でも陰線でも、ローソク足をすべて数えます。
買いでエントリーしていたら15 本前後で陰線が出たら手じまい、売りでエントリーしていたら 15 本前後で陽線が出たら手じまいにしたほうがいいのです。
チャートを見て勉強しよう

例えば、図②では 2024 年9月に上昇が始まっています。この起点を「1」とすると、16本目に陰線になりました。ここで手じまいとします。
次に、2024 年10月に下落が始まり、その起点を「1」として数えましたが、9本目に十字線、翌日と翌々日には陽線が出て、短期的に上昇しました。そうなると、カウントは終了です。11月初めの陰線を下落の起点「1」としてカウントし直します。すると14本目に陽線が出たので、ここが手じまいポイントとなります。
最初は、上昇や下落の起点を見つけるのが難しいかもしれませんが、チャートを見慣れていくうちに、徐々に「ここが上昇(下落)の起点か」と見つけられるようになっていきます。日々、チャートを見る習慣をつけましょう。
注目すべき「高値・安値を更新するか」
株価が上昇するには、前の高値を超え、安値を切り上げていく必要があります。しかし、上昇の勢力が衰えてくると高値を更新できなくなります。
天井圏から下落トレンドに転換するときには、前の高値付近まで上昇するものの突破できずに下落、再度、近づくがこれも超えられず下落という弱い動きが現れます。
反対に、前の高値を突破すれば上昇トレンドは継続となります。
下落トレンドでは前の安値を割ると、さらなる下落が継続します。しかし、前の安値で踏みとどまるか、前の安値まで下落する前に、株価が上がっていけば上昇トレンドへの転換と考えられます。
つまり、前の高値や安値は、トレンドが継続するか転換していくかを判断する重要なポイントとなります。
また、500 円、1000 円といったキリのいい株価が、天井圏・底値圏になることがあります。
トレンド継続を阻む「しこり」
前の高値や安値、キリのいい株価は、上昇トレンドでは上昇を阻み、下落トレンドならこれ以上の下落を阻む可能性が高いのです。
このようにトレンドの継続を阻む価格帯を相場流では「しこり」と呼んでいます。
実社会でも過去の出来事にわだかまりがあることを「しこりがある」などと言うでしょう。チャートにも「しこり」となる場面があり、そこで流れが滞ってしまったり、逆にそこを超えたりすると、トレンド継続は強いと判断できるのです。
日経平均ではキリのいい株価が「しこり」に例えば、図③日経平均の週足チャートを見ると、2021年は3万円あたりで売っていきたいという投資家が多く、3万円が「しこり」となり押し戻されていました。でも、そこを超えると、上昇トレンドに拍車がかかっています。

このような「しこり」を早めに察知することで、その壁を超えるかどうかによって、トレンドの判断がよりしやすくなります。
特に日経平均株価は、キリのいい株価が重要な節目になりやすい傾向があります。2万 9000 円、3万円、3万1000 円、3万2000 円など、1000 円単位の株価が「しこり」となり、上昇トレンドではそこで頭打ちに、下落トレンドでは下げ止まる局面が多く見られるのです。
基本は「移動平均線」
まずは移動平均線とローソク足を使った基本の技術からレクチャーしていきます。
その技術とは、短期・中期・長期移動平均線の交差、並び方、傾き方とローソク足の位置からトレンドを予測し、売買を判断するテクニカルです。シンプルですが、極めて再現性の高い技術です。
相場流では基本的に、5日線、10日線、20日線、50日線、100日線の5本の移動平均線を使っています。
移動平均線とはその期間中の終値の平均値を結んだグラフです。それらが右肩上がりになっていれば株価は上昇、右肩下がりなら下落していることになります。ですから傾きを見れば上昇なのか、下落なのかトレンドが判断しやすくなるのです。
完璧な上昇トレンド「パンパカパン(PPP)」
さて、株価が上昇すると、最初に一番短期の 5 日線が上向きになり、次いで 10 日線、20 日線、50 日線、100 日線の順で上向きになっていくパターンが多いです。上から 5 日線、10 日線、20 日線、50 日線、100 日線の順番で並ぶと完璧な上昇トレンドです。
これを相場流では「PPP」と呼んでいます。「パンパカパーン♪」というファンファーレとともに株価が上昇していく局面がイメージできるからです(図④)。

反対に下落トレンドは 5 日線が最初に下向きになり、上から 100日線、50 日線、20 日線、10 日線、5 日線の順番になります。これを「逆 PPP」と呼びます(図⑤)。

横ばいでは短期・中期・長期線にほとんど傾斜がなく、くっついたり離れたりしています(図⑥)。

このように移動平均線はトレンドを予測できる貴重なラインです。
トレンドの転換時、上昇・下落中、天井圏・底値圏には、移動平均線とローソク足が作り上げるユニークなシグナルが出現します。このシグナルを手がかりに売買のエントリーを判断します。