「過熱感が高い時には一旦考える時間を取るべき」投資歴20年超のベテラン助言者が注視するトランプ関税と注目シナリオ

本稿で紹介している個別銘柄:台湾TSMC(TSM)、キーエンス(6861)、ディスコ(6146)、エヌビディア(NVDA)、インテル(INTC)
投資歴20年を超え、投資助言者として日々投資家にアドバイスを届ける投資助言者【馬】(@Investment_UMA)さん。
ベテランの投資助言者としてトランプ相場、今後の展開をどう見ているのか。その難しい戦い方について率直な見方を伺いました。インタビュー連載全3回の第1回。
目次
日経平均株価最高値、こう見る
ーー日経平均株価が史上最高値を更新しました。率直にこの局面をどう評価されていますか?
上昇スピードがあまりにも早いと感じています。この値動きはプロであれば警戒する局面なため、「初心者が勢いで買ってしまったのかな」という印象を持ちました。
これまで経験したことのない史上最高値という水準に来ているので、ここからどれだけの値幅が出るのかを冷静に考えたいところですが、検討中にどんどん上がっていく。誰が買っているのかと考えると、不気味さも感じます。
ーー誰が買っていると思われますか?
海外の機関投資家だと考えています。円高に戻りつつあるとはいえ、今の水準はまだ円安基準ですから、まだ日本株の上昇余地があると考えているのでしょう。
ーー今後下落があるとすれば、一時的なものと見ていますか?
昨今は、急落しても最終的には高値を更新してきました。そのため下落はむしろチャンスと考えるべきでしょう。たとえば15%下落すれば相当なインパクトですが、先日のトランプ関税ショックでは20%以上落ちています。4万2000円から3万円割れ寸前まで下げましたからね。その時は1万2000円もの下落幅でした。そこまでのパワーがなくても、その半分の5000〜6000円程度の下落は、ほんの少しのマイナス材料で起きてもおかしくありません。
AIアルゴリズムの影響を考えてみましょう。ディープラーニング(深層学習)で学習する際、人間のように柔軟に判断する事ができないので、多くはパーセンテージでAIに指示しているはずです。つまり10%程度の下落はアルゴリズムにとっては“買い場”になってしまう。その一方で、人間からすれば金額的にはとんでもない下げになる。このギャップがアルゴリズム主導の相場の難しさだと思いますし、初心者も巻き込まれている印象です。
トランプ関税、相場の反応の「見方」
ーートランプ関税についても伺います。米国の関税は「15%」に落ち着きましたが、これはプラス要因と見るべきでしょうか?
結果的にはやはりマイナスだと考えています。トヨタやマツダといった米国に強い自動車メーカーは、国内で生産して輸出する形をとっていますから、関税が重くのしかかります。関税率を27.5%から15%に引き下げたため、市場がポジティブに捉えすぎている印象がありますが、実態としては以前より良い状況にはなっていません。