副業スモールビジネスで「売れる商品」はここが違う…伝説の連続起業家がスモビジ成功の秘訣を伝授 儲かる事業と儲からない事業を分ける“たった1つ”の違いとは
スキルもコネもないごく普通の会社員でも、副業スモールビジネスで「月収100万円」を稼ぐことは十分可能だ――。そう話すのは、元祖退職代行サービス「EXIT」の創業者、おかざき氏(@okazakithe)である。身一つで事業を立ち上げ、巨大な産業を生み出した同氏だからこそ語れる「スモールビジネス成功の奥義」とは。
「半径5m以内のリアルな課題」から事業の種を見つける方法から、完璧主義を捨てて最小コストでマネタイズを実現する実践論、そして副業で月収100万円を目指すための具体的なロードマップまで、同氏にたっぷりと教えていただいた。全4回の第2回。
※この記事は、みんかぶプレミアム連載「副業・スモビジで億り人に――令和の“稼ぎ方”新常識」の一部です。
目次
「広く浅く」では儲かるビジネスなんて作れない
「EXIT」も「メザミー」も、決して何百億円も稼ぐような巨大なビジネスではありません。でも、同じような悩みを抱えている人たちが確実に存在していて、彼らにとっては「なくてはならないサービス」になっている。ニッチかもしれないけど、誰かの「本当に困ってる」という痛みに、深く深く刺さっているから、事業として成立しているんです。
これから何か始めたいと思っているなら、まずは大げさな「事業計画」なんて考えなくていい。自分の周りを見渡してみてください。友人、家族、会社の同僚、あるいは自分自身が、「ああ、これマジで不便だな」「なんで世の中こうなってないんだろう」「金払ってでも誰かやってくれよ」と感じていることはありませんか?
日常に眠る“金脈”を掘り当てる「3つの魔法の質問」
その小さな「不便」「不満」「愚痴」こそが、ビジネスの最高の種なんです。それを探すための、簡単なワークがあります。
まずは、過去1週間で、「面倒くさい」「時間がもったいない」と感じたことを3つ書き出してみます。それから、友人や家族が、最近愚痴っていたことを思い出せるだけ書き出してみてください。さらにもうひと押しで、「自分が毎月、あるいは毎年、嫌々ながらもお金を払っているサービスは何か? そのサービスのどこに不満があるか?」を書いてみます。
ここに挙がったものの中に、あなたのビジネスのヒントが眠っている可能性は、非常に高いです。
なぜ「レンタル怖い人」はバズったのに儲からなかったのか
ここで、俺の盛大な失敗談を話しましょう。最近始めて、すぐにやめることになった「レンタル怖い人」です。この失敗こそが、「リアルな課題」と「想像上の課題」の違いを、何よりも雄弁に物語っています。
このサービスを思いついたきっかけは、退職代行の成功体験からです。退職代行は、もともと弁護士がやっていたような領域でした。でも、弁護士に頼むのって、なんだか大事だし、費用も高いし、気軽に相談できないですよね。その「ユーザーにとっての不便さ」を、俺たちが「もっと手軽で使いやすいサービス」にしたことで、多くの人に受け入れられた。
じゃあ、他に似たような「専門家がやってるけど、ユーザーは不便を感じている領域」はないか? と考えたとき、思いついたのが「いじめ問題」や「近隣トラブル」でした。いじめの解決を民間でやろうとすると、相談先は最終的に弁護士とかになる。でも、それもやっぱりユーザーからしたら使いづらいだろうな、と。もっと気軽に、もっと直接的に使える解決策として、「見た目が怖い人をレンタルする」っていう、ちょっとぶっ飛んだアイデアが浮かんだんです。
儲からない事業に共通する“甘い罠”の正体
「いじめで困っている人がいるんじゃないか」「騒音トラブルで悩んでいる人がいるんじゃないか」「しつこい勧誘を断れずに困っている人がいるんじゃないか」……これは、ある意味で「想像上の課題」だったんです。身近な誰かが具体的に困っているというよりは、「こういうことで困っている人が、世の中にはたくさんいそうだ」という仮説からスタートした。
この「リアル」と「想像」の、ほんのわずかな差が、致命的な結果の違いを生んだんだと、今では思っています。
サービスをリリースすると、案の定、ものすごい反響がありました。メディアが飛びつき、Xではめちゃくちゃバズって、問い合わせのメールやDMが殺到した。正直、「これはイケるんじゃないか?」と思いました。
「問い合わせ」が「売上」につながらない根本的な原因
でも、現実は違った。
不思議なことに、あれだけ問い合わせが来ても、それが実際の「依頼」、つまり売上にはほとんど繋がらなかったんです。サービスをやめたのは、世間から「反社会的だ」と批判されたからじゃありません。単純に、儲からなかったからです。
なぜ、そうなったのか。理由は明確でした。
問い合わせてくる人の多くが抱える問題は、俺たちの想像をはるかに超えて、「こじれにこじれていた」んです。
例えば、近隣の騒音トラブル。「隣の部屋がうるさいから、一緒に注意しに行ってほしい」という依頼。話を聞くと、もうすでに自分で何度も注意し、大家さんや管理会社からも言ってもらい、警察にも相談済み。それでも全く改善しない……という、八方塞がりの状態で連絡してくるわけです。
そんな状況で、俺たちが提供できるのは何か?「法律に触れない範囲で、脅しにならないように、見た目が怖い人がそばにいて、一緒に丁寧にお願いする」ことだけです。そんなことで、警察も匙を投げたような問題が解決すると思いますか? ユーザー自身も、心のどこかで「これじゃ解決しないだろうな」と感じるわけです。
儲かる事業と儲からない事業を分ける“たった1つ”の視点
つまり、ユーザーが本当に求めている「問題の根本的な解決」と、俺たちが提供できる「サービス」との間に、埋めようのない巨大なギャップがあった。
これが、「EXIT」との決定的な違いでした。EXITは、「明日から会社に行かなくていい」という、ユーザーが喉から手が出るほど欲している結果を、シンプルかつ確実に提供できた。でも、「レンタル怖い人」は、それができませんでした。
この経験から学んだのは、ビジネスを考える上で最も重要なのは、「こんなことで困っている人がいそうだ」というフワッとした仮説ではなく、「この痛み、俺は知ってる。そして、こうすれば絶対に解決できる」という、手触りのある確信だということです。あなたのアイデアは、その確信に基づいていますか? もう一度、胸に手を当てて考えてみてください。
「売れる商品」は一体何が違うのか
さて、事業アイデアが浮かび、ユーザーの抱えている課題に対する解決策も思いついたとしましょう。